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小説「怪異談 忠臣蔵」21

小説

怪異談 忠臣蔵 

〜ゾンビが出てくるやつ〜
(連載21)
 

 

この作品はフィクションです。文中に出てくる名称と、実在の個人名、団体名とは一切関係がありません。

本編には、暴力的なシーンが含まれてございます。
また、たいそう昔の設定なので、現代では不適切と思われる表現が含まれることもございます。
あらかじめご了承の上、ご覧くださいませ。  

※文中の「のろま」とは、ゾンビのことでございます。
 

 

++++++++++++++++++++


 

 

 それから、いつまでたっても肝心の吉良上野介が見つからない。

 一堂は気が気ではなかった。

 何人かの浪士が物置から、空き俵を引っ張りだし、焚き火を始めてしばし当たった。

 遠くではチャンチャンと斬り結ぶ、丁々発止の音が聞こえている。

 斬り合って庭の泉水に落ちた浪士が、ブルブル震えながらやってきた。

「おぉ良い物があった。衣類が濡れて重くてかなわぬ」

「まだ上野殿の在処はわからぬか」

「こう取り囲んだのだから逃しっこない」

「それさ。隣家では高張り提灯を塀越しに掲げてこちらを照らしてくれている。あれは味方だ。塀を越えて逃げれば、匿うことはあるまい」

「ほんとうか。隣家が…」

「本多家、土屋家、我ら推参の由を届け申しおいた際に、どちらも『武士はそうありたいもの。ご不自由の品物あらばなんなりと』と…」

「…我ら忠義の一念を、ご同情くださったのだなあ」

「こうしてはいられぬ」

「うむ。近松様。お先に御免ッ」

「うむ。火の用心は任せろ」

 

 安兵衛が廊下をさらに突き進むと、外に父・弥兵衛が屈強な男に襲われているのが見えた。

 「いざ、かかってまいれ!」

 言ったとたんに弥兵衛、雪に足を滑らせてツルリと仰向けに倒れた。

 しめたと踏み込んだ男は真っ向に振りかぶった。

「父上!」

 安兵衛は、飛び込むが早いか「エイ!」と横に払った一文字。

 見事に胴を斬りこんで、血煙のうちに男は倒れた。

「お怪我はございませんかっ」

「タワケめ!アレは立って戦うには足りぬ相手だから、寝て戦っていたのだ!よけいなことをするな親不孝者!」

「それはそれは…」

 ものすごい強情と負け惜しみに、安兵衛があっけにとられていると、

「安兵衛!」

 見るとそこには袴の股立を高くとりあげて、タスキを十文字に綾なし、布をたたんで鉢巻をした清水一学が立っている。

「一学…」

 ゆっくりと、両手左右に刀を抜いた一学。

「安兵衛…勝負だ!」

 いまは逃れぬ敵と敵。

「心得たり。ここは俺が引き受けました。父上。少しも早く上野めを!」

「しからば。…ぬかるなよ安兵衛」

 弥兵衛はふたりの男の気迫から、何かを読み取り、立ち別れる。

 

「たあっ!」

 一学は右剣左剣の二刀を振るって、電光石火の早業。

 安兵衛が右剣を払えば、左剣がつけいる。

 切ってかかるのを、一上一下打ち合った。

 両者互角に打ち合った間髪に、一学が一件ほどの間合いを作って、荒れた息で話をしだす。

「安兵衛ッ。尊公だから話しをする。

 吉良様はな、上杉家の逆臣に、のろまの毒を盛られたのだっ。…毒を盛った奴はもういまは仏様だ。扱った毒がどうかして、自分に回っちまったのだろう。御主の罰(ばち)。天の罰(ばち)じゃ」

 安兵衛は正眼に構えてジッと聞く。

 先だって言いよどんでいたことはこれか。

「ともあれ米沢様(上杉家)には五代目吉憲様があらしゃる。…そういうことらしい。わしは、わしはもう…この勝手次第なアリサマがわしにはもう、もう小癪に障ってたまらぬ!腸が煮えくり返るようじゃ!」

 悔しそうに独白すると、一学は阿修羅のような勢いで、無二無三に切ってかかってくる。

 安兵衛があとへあとへ下がって、防戦一方になってるとき、一瞬の隙をついて切り込む下をかいくぐり、振り返って打ってかかる一学の胴体半ばを横一文字に引き払った。

 バサッと真っ赤な血が白雪を染め、ドウと倒れた清水一学。

 思わず安兵衛は声をかける。

「一学ッ」

「みごと…」

 顔にかすかな微笑みを浮かべ、続けて虫の息で、まだなにやら言おうとしている。

 安兵衛は、一学の体を少し抱き起こしてやった。  

 悔しさのあまりか、苦痛によってか、起こされた一学の頬に、涙が一筋ハラリと伝った。

 しかし安兵衛にとっては、いまさら他家の事情を聴いてどうなるわけでもなく、究明する筋合いもない。

 が、ともかく一学の忠義が、その一件を許せなかったのであろうと、哀れに思った。

 一学のまなこが弱々しく安兵衛を見上げて

「未練は残るが潔く、大殿様のお屋敷で斬死(きりじに)をするとしよう」

「ご隠居はどこにいるのだ?」

「…足に、…足に枷をされて…」

「カセ?どこかにとらわれているのだな。」

「…目を離している隙に小坊主が…」

「逃した?屋敷内にか?」

「…寒い…」

 寵愛されていた小坊主が、主人を不憫に思って、枷を外したのが運の尽きるところ。

 小坊主は途端に、すっかりのろまに変化していた吉良に、直接噛みつかれた。

 一学が小坊主の愚行に気づいた時は、外された枷だけが残されて部屋はすでにもぬけの殻だったようだ。

 若い者の毒の回りは速く、小坊主はたちまち変化し、フラフラと部屋を出てぐっすり眠っている吉良邸の用人や上杉の附人に、噛み付いて回ったようである。

 愁傷千万なことに、吉良邸はこの夜、ふたつの夜襲を受けているのだ。

「しっかりしろ!足枷をしていたのは寝所か?それともどこか…」

「俺は、冥土にてご奉公いたす……」

 一学はそう言うと、そのままこと切れた。

 

 

 

 

 こころざす吉良上野介が行き方しれずのまま、討ち入りから一時ほど経っていた。

 玄関、次の間、大広間、茶席、庭前…八方に分散し、屋敷の中にうろつくのろまは、すっかり根絶やしにした。

 あらためて決闘を挑む用人の姿も、無くなっていた。

 吉良の状態について、事情が伝令によって仲間に知れ渡る。

 怨敵が屋外に逃亡した気遣いはなさそうであることはいいとして、どこかですでに始末されている場合もあることが、同士たちの気がかりとなった。

「探しだすのがまことに厄介。のろまには気配が無いでのう」

 誰かがそう言って舌打ちをした。

「くたばっておらんければそれで良いっ。我等の手で討つことこそ肝要」

 お互いに、いまさら言っても到底、詮無いこと。

 武運も尽きたかと心を砕いて、いかんと思いながらもついうっかり愚痴になる。

 打ち漏らした場合は、全員その場で切腹が約束されていたが、そうした幕切れは誰一人望んではいない。

 気は急くが、埒があかないまま、時はいたずらに過ぎていく。

  

「安兵衛殿、ご覧じろ。奥に引き戸のような…」

 台所で同士が安兵衛に声をかける。

 隠れ座敷かと、注意深く戸を開けて、黒暗暗とする内部を龕灯を照らしつけてみると、そこは物置のような陰気な部屋だった。

 炭俵などが、ほかの細かい道具と一緒に散乱している。 

「そこは、もう見たぞ」

 誰かが背後から声をかける。

 それでも両人は、部屋の中に進んで羽目を叩き、床に散らかった道具を足で払いながら中へ進む。

 奥に転がってる炭俵のひとつが、ひっくり返った長持の上に乗っかっていた。

 同士が上の俵をどかすと、軽くなった長持がガタガタと動きだした。

 明らかに、なにかにかぶさっている。

 安兵衛と同士が目と目を見合わせて合図をし、同士が手槍をリュウリュウと引き扱き、切っ先を長持にピタリと合わせて下段に構える。

 安兵衛が力任せに長持を蹴っ飛ばすと、その下から、白綸子の寝間着姿で総髪の、眼の色の変わった老人が飛び出した。

「得たりっ」

 と同士が、咄嗟に一足踏み込んで繰り出す槍先を、老人の右腿へグサリと突きこんで手許に引く。

 老人がよろけたところを安兵衛が蹴り倒し、地べたに押し伏せて、額と背中の傷を見るや、十中八九これが吉良に違いないと思うと、手際よく両手を縛り上げた。

 老人はここに迷い込んで勝手に炭俵の下敷きになったのか、誰かが彼を守るために長持をかぶせたのかは、最早わからない。

 ともかく見つけた。やっと見つけた。

「吉良様に相違なかろう」

 同士が襟に下げた呼子をピリピリと吹き出した。

 

 

 

 

 小奴(こやっこ)を引っ立ててきて面通しをし、間違いなく老人が吉良上野介であることを確かめると内蔵助は、同士ふたりに腕と肩を押さえつけられている吉良に頭を下げ

「主君・浅野内匠頭儀は、尊公に対し刃傷つかまつり、事果たさずして当日切腹仰せ付けられ、五万三千石は改易。主君の存意を継いで貴君を怨みたてまつる。尋常にご切腹を願いたてまつる」

 と、挨拶をする。

 百も承知だが、内蔵助の言葉に、相手からは一言もない。

 そんなことよりも、吉良と見えるその老人は、自分を取り押さえている肩にかかった赤穂浪士の手を、亀が餌を求めるように首を伸ばして噛み付こうとしている。

 四位の少将としての高貴さは、そこに微塵も感じられなかった。

「ではご無礼を加え申す段、ご容赦くだされッ!」

 そういうと、こめかみにトドメの一刀を突き刺した。

 クタッとなる吉良老人の身体。

 七つの鐘が遠くに聞こえ、あたりの鶏もその夜明けの間近を告げる。

 

 おわった。

 

 年月を重ねること一年と十ヶ月。やっと本望を遂げることができた。

 血気の面々の中には、感極まって泣いている者もある。

 一番槍の浪士が、斬って落とした吉良の首級を、白綸子の小袖に包み、槍の先につけて高く差し上げた。

 ひとりも欠けていない四十七士は、勇ましくかちどきを上げると、隊伍整然として主君長矩公を葬った高輪の泉岳寺へ、揚々と引き揚げていく。

 その間、一学が真相?を吐露した上杉家は、実は早々と討ち入りの急報を受けていた。

 しかし「国乱の元になる」と言う理由で、吉良家へ応援をいっさい出さなければ、泉岳寺へ引き揚げる赤穂浪士を追いもしなかった。

 

 

〜つづく〜

 

●<小説「怪異談 忠臣蔵」20はこちら

 

◯< いっとう最初はこちら。

 

++++++++++++++++++++

 

〜解説〜

 

 空前のパロディ小説。

 

先回も申し上げましたとおり、謎の多い赤穂事件で作家がデタラメをいたしますと、必ずとばっちりで割りを食うキャラクターというものがございます。

 本作品では、面目ないのですが、米沢藩に申し訳のない疑惑を背負っていただくことにいたしました

 劇中で一学が疑惑に思っているのは、キラさんを疎ましく思っていた家老…ということで、その人はすでにお亡くなりになっている、と言います。

 赤穂事件で討ち入りの時に、上記のようなポストの登場人物って…なんつって。

 

 次回はいよいよ、最終回でございます。


 

更新はだいたい、土曜日とか日曜日です。

 

 

どうぞごひいきに!

 

 


もりい

| もりいくすお | - | comments(2) | - |
小説「怪異談 忠臣蔵」20

小説

怪異談 忠臣蔵

〜ゾンビが出てくるやつ〜
(連載20)
 

 

この作品はフィクションです。文中に出てくる名称と、実在の個人名、団体名とは一切関係がありません。

本編には、暴力的なシーンが含まれてございます。
また、たいそう昔の設定なので、現代では不適切と思われる表現が含まれることもございます。
あらかじめご了承の上、ご覧くださいませ。 

※文中の「のろま」とは、ゾンビのことでございます。
 

 

++++++++++++++++++++


 

 

 おりしもそこへ、表門のほうからとうとうたる陣太鼓の合図が聞こえてくる。

 続けて長屋の雨戸をカスガイで止める音も聞こえてきた。

 ほんとうはこの音こそ、突入の合図のはずであった。

 表門のほうでのろまは、どうした按配なのだろうか。

「手向かいいたさん奴は捨て置く約束でしたが、手はずどおり、のろまは斬ってよろしいな」

 この討ち入りは、松之大廊下の一件を発端として、赤穂浅野が大変になっても、なんの諸表明もしないで涼しい顔の、のろまになった主人をひた隠す、吉良家の言語道断の致し方に対して仕掛けている「戦」である。

 女子供に目なかけそ、逃げるは追うな。歯向かってくるものは皆、容赦はいらぬ。

 この時ばかりは安兵衛とて、なにも迷っていない。

「おのれッ」

 吠えるように叫ぶと、安兵衛目の首根っこめがけて襲ってくるのろまめがけて、ギラリと引き抜いた関孫六、小鬢から顎にかけて斬り下ろした。

 ばったり倒れる吉良邸附人ののろまを眼下にして、安兵衛は自分の中に甦る久しぶりの、「人を斬る手応え」をジットリと感じながら、先に進む。

 敵と渡り合えば武士として名誉もあろうが、ここでのろまに食いつかれて果てたとなれば、犬死にである。

 仲間が大納得して安兵衛に続いた。

 

 またひとり、玄関の戸が開いて、中から寝巻き姿の丸腰の者が顔を出した。

 赤穂浪士一党を見るや

「助かった!赤穂浅野だ!中でのろまが…」

 と、その男が言いかけて、安堵したのもつかの間、すぐに表情がこわばって中のほうを指さしたまま「あ。」と動作が固まった。

 目の前の黒扮装(いでたち)の連中は、のろまの鎮静に来てくれたのか、それとも自分たちを殺しに来たのか、混乱したのである。

 マゴマゴしていたその男は、浪士の見ている前で背後から襲いかかってきたのろまに、首根っこを食いつかれた。

「ぎいいいっ!」

 邸内の者の慌てようから、どうやら今夜にかぎって間も悪く、一党が寝静まっているところへどういうわけか、憑依が広がっていったように見える。

「返り血に気をつけろっ」

 男とのろまの傍らを何人かが通りすぎ、ドカドカと邸内に入って中から、雨戸をつぎつぎに打ちはずした。

「やれやれ」

 通りすがりの浪士が、溜息混じりに太刀の反りに左手を添え、男の首に食らいついてるのろまの眉間に、切っ先を当てると

「エイッ」

 と、一突きしてのろまを倒した。

 

 

 

 

 上杉家の附人や吉良方の用人が、待機してると思われる長屋の戸口や雨戸を、浪士の何人かがカスガイで打ちつけながら

「いま邸内にのろまが大勢現れた!決して出てはならんっ」

 と叫ぶと中から

「…かしこまってござる〜…」

 と間の抜けた返事がして、ついに夜明けまで百人ほど待機していたと言われる家来たちは、蟄伏して誰も長屋から出てこなかった。

 

 暗い邸内を、間ごと間ごとに火の着いたろうそくを燭台に灯して、壁に突き刺して回っている浪士の前に勇ましい声がして

「ちょこざいな赤穂浪人!いざや来たれっ」

 と決闘を申し込んでくる者がいる。

 出会い頭に太刀を振るって渡り合い、二打ち三打ち打ち合ったが、吉良の用人は浪士の太刀先に切り立てられた。

 そこに別の浪士が来て言う

「気の毒だが、斬ったものはかならず額やこめかみに一刺しを忘れるな。やがて起き上がってくるのだから」

「いやしかし、此奴はのろまではないぞ」

「息のあるうちにのろまに食いつかれたら同じことだ。ええい、なんでもいいから」

 と、その浪士は倒れている男にとどめを刺した。

 この咄嗟の意見は、賛否を二分した。

 斬られたからといって、必ずのろまに襲われるとは限らない。
 のろまに襲われなければ、のろまにならない。

 

 大戸を十八貫五百目の大槌で、微塵に打ち砕いてだんだんと奥へ進んでいく安兵衛の前に、大太刀を構えもせずブラリとさせて、立ちはだかるものが現れた。

 隙だらけでどこからも打ち込めるが、これはかえって恐ろしい。

「さては八方破れの構え」

 しかし暗闇に目を凝らしてみると、この男の着物には大量の血が付いている。

「また、のろまか」

 思わぬ肩透かしに気を緩ませたその瞬間、その男がやおら討ってかかってきた。

「おのれ赤穂の痩せ浪人ッ!」

 不意を食った安兵衛は、それを咄嗟に大槌の柄で受ける。

 スパリとふたつに切り折られる柄と槌。

 安兵衛、大槌を捨てると

「えいっ」

 と片手殴りに延びを打って払った。

 相手はそれをヒョイとかわそうとしたが、左の小手を切り落とされた。

「あっ」

 とたじろぐところを踏み込んで、バラリズンと切りおろす。

 そこいらに倒れている仲間の血糊をつけて、のろまの「ふり」をして出てくるものまでがあるものか。

 ともかく想定外の珍事は、よけいな判断を強いて、周到に準備した計画にかずかずの面倒を増やした。

 激しく剣を合わせているところへ、のこのこと割り込んでくるのろまもいた。

 その時ばかりは、一瞬吉良の附人と赤穂の浪士が、息を合わせて邪魔を排するという、一風変わったやりとりもあったものだった。

 あれやこれやとなかなか手間取っていると

「上野介殿、お出会えそうらえ!我らは浅野の浪士。亡君の意趣を継がんがため推参いたしてござる!」

 燗が高ぶった浪士の誰かが思わず叫んだ。

 

 奥殿をこころざして進み行き、屋敷も中頃と思うほどにやって来ると、縁側どおりの廊下で身の丈六尺もあろうかという、鴨居にも背をくぐめるほどの巨漢(おおおとこ)と鉢合わせた。

 片足を引きずってこれまた様子がおかしい。「どっちか!?」

 と声を出したのは、槍が自慢の浪士であった。

 浪士が槍をしごいて、つっかける。

 柄にもなく、身軽にヒョイとかわした大男は、槍の浪士に向かって一太刀振りおろす。

 浪士も軽くかわす。

 そのとき大男の向こうから人影が走り寄ってきた。

「やまっ!」

 同士の合言葉を叫んだこの男は、表門隊の片岡源五右衛門であった。

 浅野内匠頭と最後に会った、あの小姓頭である。

「かわっ!」

 安兵衛が返す。

 考え方の違いを持った浪士も、いまはまとまって討ち入りをしている。

 亡君を想う者。家を想う者。矜持。中にはいさましい活躍によって、再仕官を思い浮かべる者さえある。

 さて、表門隊の片岡が裏門隊の安兵衛と、屋敷の半ばで鉢合わせるということは、屋敷の中での吉良上野介捜索が、かんばしくないことを意味していた。

 のろまの邪魔立てに手こずって、肝心なことが後回しだ。

 

 

 

 

 大男は、前後を睨みつけながら「うあっ」と血反吐を吐いた。

 安兵衛は、蝋燭の灯にこの男の脛がかじられている傷が浮かんだのを見て、ハッとなった。

 その隙に槍の浪士が、拳下りにサッと突く。

 見事な一突きは相手の胸板をとらえたが、大男は突かれたまま、槍の浪士をゆっくりと睨みつける。

 その目はみるみる真っ赤に充血していった。

 大男は胸に突き刺さった槍を、抱えるようにグッと掴むと、自分を軸に槍の浪士を横へ「エイ!」と振り払った。

 浪士は雨戸を突きやぶり、もんどりをうって、庭の雪の中に放り出される。

 が、浪士も槍に食らいついて離さない。

 槍で浪士とつながった大男も、足を踏み滑らして追うように庭に落ちた。 

 ここまで鍵付き槍がグリグリと身体に食い込んでは、とても耐えられないはずなのに、大男はムクムクと立ち上がると、槍を胸に突き刺したまま平然と上段に構えて打ってかかる。

 槍の浪士はそれをかわしながら、しっかりと食い込んだ穂先を前後に動かしながら、急所を捉えようとする。

「こんな槍術もないもんだ」

 手こずっているところへ、通りかかった事情のわからない同士が助太刀をと、大男の背中を切りつけるがびくともしない。

 反対に、のろまの振り回した拳にしたたか顔面をぶつけ、目を回してしまった。

 続けて屋根の上から、大男に向かって半弓の矢を射かけるものもいる。

 矢が刺さっても、なますのようにズタズタになっても戦っている大男の姿が、なにやら次第に天晴に勇ましく見えてきた。

「ひるむなっのろまだ!眉間を割れっ」

 誰かが叫んだが、この大兵の首に向かって上へ切りつけても、なかなか骨に届かず、そこら中に耳が飛び鼻が飛び、顔ばかりが玉鋼(たまはがね)のようにズタズタになっていく。

 返り血が降ってくるのが、いちいち始末に悪い。

 身体中を血に染めた大男は、傷口からドッと血煙をあげながら、胴体に通ったままの槍をグググといっそう手繰り寄せて、槍の浪士に近寄ってくる。

 とっくに穂先は背中を突き通している。

「ええい。いつまで手間どられるぞッ」

 安兵衛は気を焦(いら)ち、後ろから飛びかかると男の脚を片方ずつ、大喝一声切り払った。

 大根のように転がる大男の両足。

 それでも振り返って安兵衛に向かって大刀を振りかざす。

 身の丈がうんと低くなったのでその隙に槍の浪士が刀に持ち替え大上段から

「ヤッ!」

 と脳天に斬り下ろした。

「◯!」

 バックリ頭がふたつに割れた男は、言葉にならない声を発しながら、二言と言わず相果てた。

 

 

〜つづく〜

 

 

 

●<小説「怪異談 忠臣蔵」19はこちら

小説「怪異談 忠臣蔵」21はこちら>●

 

 

◯< いっとう最初はこちら。

 

++++++++++++++++++++

 

〜解説〜

 

 空前のパロディ小説。

 

さあ、いよいよシッチャカメッチャカでございます。

お話はこれからが面白くなるわけですが、なんとなんと、お時間がやってまいりました。

 

大男にやりを突き刺す浪士は、初稿ではその時の安兵衛さんのバディ・前原伊助でした。

でまぁ〜、いつの間にか安兵衛さん大鎚をもってるし、なかなかいいかげんですみません。


 

更新はだいたい、土曜日とか日曜日です。

 

 

どうぞごひいきに!

 

 


もりい

| もりいくすお | - | comments(2) | - |
小説「怪異談 忠臣蔵」19

小説

怪異談 忠臣蔵 

〜ゾンビが出てくるやつ〜
(連載19)
 

 

この作品はフィクションです。文中に出てくる名称と、実在の個人名、団体名とは一切関係がありません。

本編には、暴力的なシーンが含まれてございます。
また、たいそう昔の設定なので、現代では不適切と思われる表現が含まれることもございます。
あらかじめご了承の上、ご覧くださいませ。  

※文中の「のろま」とは、ゾンビのことでございます。
 

 

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 十四 出立

 

 待ちに待った、元禄十五年十二月十四日。

 辛酸ここに一年十ヶ月。

 いよいよ討ち入りの当日。

 月は変わっても日は同じ、故・内匠頭長矩公のご忌日。

 亡君の怨霊を慰むべきときがやってきた。

 この日は夜来から、卍ともえと雪が降りしきり、江戸府中は見渡すかぎりの銀世界。

 

 赤穂浪士たちは、手はずに定められた通りに三々五々、本所林町の堀部親子の浪宅や、同じく本所四つ目にある仲間の浪宅、相生町の米屋(これも仲間の店)に集まった。

 夜半九つ頃、弥兵衛や安兵衛たちは、党中の計略通り、戦闘で慣れきったのろま退治の時の黒小袖に身を包んだ。

 両襟、両袖につけた白い木綿の布に「浅野内匠頭家来なにがし 享年なん歳」と袖印をしたため、半弓、薙刀、くだ槍、手槍など、各々武器を持って支度を整えた。

 皆の支度がひと通り終わると、ホリと母・たねが酒肴を整えた。

「これは菜鳥の吸い物!」

 今宵の門出に「名を取ろう」と洒落た、菜と鴨の吸い物。

 一同は喜んでそれをたいらげた。

 

 かねて打ち合わせの時刻となり、おのおの出で立つ時となる。

 皆が傍らを通り抜ける中

「さあ、いよいよこれから、冷光院様のご無念を晴らすため臣なる道を尽くすつもりだ。不憫だが、前世の宿縁と諦めてくれ」

 別れ際に安兵衛はホリにそう言った。

「あっぱれなお心、泉下におわするお殿様も、さぞかしお喜びにございましょう」

 ホリはにっこり笑った。

「父子打ち揃ってこの大事に加わったことは、末代までの家門のほまれです」

 なにか見繕って、立派な言葉をかけようとしているホリに、安兵衛は

「短い間であったが、よく尽くしてくれたな…。礼を言うぞ。堅固で暮らせよ」

 優しい言葉をかけられて、ホリは表情を歪ませると、これが今生の別れになるのかと思わず知らず、こらえていた涙を、ポロポロと流した。

「これを。今宵のはなむけでございます」

 ホリはそういうと奉書紙の包を差し出した。

 それを受け取ると安兵衛は、義理の母、弥兵衛の妻であるたねに向きなおり

「子たる道も尽くさず、お別れを致しまする不孝の段は、幾重にもご容赦くださいますよう…」

 たねはニッコリと、黙って安兵衛を見て頷いた。

 幼い時に実の母をなくした安兵衛と、若くして実の息子をなくした堀部夫婦との相性は、これまでたいそう良かった。

「めでたき門出に涙は不吉じゃっ」

 弥兵衛が割って入った。

「笑えっ」

 無茶な号令に四人は

「うふふふ」

「あははは」

 と、せき来る涙を笑いに紛らわせた。

 いつもの堀部家の戯れ。最後の戯れである。

 

 切戸を開けると降り続いた雪はすっかりやんで、月が寒月中空に冴え渡り、こうこうと積雪の上を照らし、真昼のように明るかった。

 道は凍って足場も良い。

 

「達者で暮らせ」

 弥兵衛はぶっきらぼうに一言だけ家族にそういうと、仲間の集まる蕎麦屋に向かって歩き出した。

 途中、安兵衛がみちみち紙包みを開いてみると、一握りの黒髪と、赤い緋縮緬の扱き帯の布ぎぬが入っていた。

 これぞ高田馬場のえにし。

 安兵衛が堀部家に入る前、高田馬場の決闘において、見物のホリから「たすきに」と扱き帯を差し入れられたのが、出逢いのキッカケであった。

「ホリ。かたじけないぞ…」

「思えば浮世は夢であるのう」

 弥兵衛が独り言を言った。

 

 

 

 

 十五 討ち入 

 

 この日まで、先だって清水一学が言ったとおり、憑依されているのは吉良上野介ひとりだけなのか、それとも邸内は中野の犬屋敷のように、のろまでいっぱいなのか?

 …蓋を開けてみるまで、まったくわからなかった。

 新宿騒動から三年近く経っており、赤穂浅野が改易になって、一年十ヶ月。

 この数カ月の偵察のうちでも、これといった異常はない。

 もっとも、吉良の姿を見知った仲間は、ひとりもいなかったが…。

 つまるところ、吉良邸内は、清水一学ほか、手練れの剣豪が待ち構えているであろう、という予想があらかただった。

 それでも、月命日が討ち入りの日となったのも、亡君のお導きと、みな武運を信じきっていた。

 

 出動した一味の同士の数は四十七人。

 

 時刻は寅の上刻。

 吉良の屋敷に到着した四十七名は、東西に別れ、表門隊二十四人と、安兵衛がいる裏門隊は大石内蔵助の長子、時に十五歳の年若な主税(ちから)を大将として、二十三人から入り込む。

 表門の合図を待ってから、裏門隊が突入する手はずで、門を大鎚(掛矢)でぶち壊そうとする担当が、今か今かとその時を待ち受ける。

 すると不意に通用門が中から開いた。

 ヒョッコリ出てきたのは門番であった。

 赤穂浪士を見てびっくりしていたが、浪士たちもびっくりした。思わず安兵衛が

 「神妙にいたせ。我々は亡君・浅野内匠頭家来…」

 と、静かに言いかけたところで、みなまで聴かず門番が「お助けを!」と言って、邸内に引き返すのかと思いきや、いきなり安兵衛に飛びついてきた…が、安兵衛は咄嗟に雪の上へ張り倒して、しがみつかせなかった。 

 まさかの行動にあっけにとられていると、すぐそのあとから、目を真っ赤にした灰色の面相の男がのっそりと出てきた。

「あッのろま!」

 言うが早いか、安兵衛はのろまの腹を思い切り蹴って、邸内に押し戻した。

 裏門隊二十三人は、近くの者と顔を見合わせて、無言のうちにじゃっかんの作戦変更を承知した。

 まずは門を打ち砕くのをやめる。

 

 しかし、もうひとつ状況が飲み込めない。

 ふだんから吉良邸はこういう状況なのか?

 それとも赤穂浪士が来るということを察して、番犬のごとく、かくれのろまでも解き放したのか。

 

 一同は小さな通用門から次々に門内になだれ込んだあと、すぐにあとをピッタリ締めた。 

 堅牢にしてのろまを封じ込めるつもりだ。

 さてこそ庭には、あっちこっちでふらふらしているのろまがいる。

 それが赤穂浪士突入の物音に、一斉に振り向いた。

 襟首を掴まれて邸内に戻される、先ほどの門番は

「どうかお助けを!」

 と、抵抗をした。

「心配いたすな。お前たち下郎の関係したことではない。」

「なんの、あたしが怖いのは、のろまのほうなんで。」

 聞きたいことがあったが、男は門から出られないと知るや、浪士の手を振り払って、こけつまろびつ、庭の奥の方へと駆けて行った。

 半弓に手をかけたものがいたが

「かまうな」

 と安兵衛が言う。

 

 

 

 

〜つづく〜

 

 

●<小説「怪異談 忠臣蔵」18はこちら

小説「怪異談 忠臣蔵」20はこちら>●

 

 

◯< いっとう最初はこちら。

 

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〜解説〜

 

 空前のパロディ小説。

 

さあ、いよいよ討ち入りでございます!

 

2月のリリースに季節感もなにもあったものじゃございませんが、とはいえ四十六士のご命日近くでございますので、功徳になったらいいなあ。

お話はこれからが面白くなるわけですが、なんとなんと、お時間がやってまいりました。


 

更新はだいたい、土曜日とか日曜日です。

 

 

どうぞごひいきに!

 

 


もりい

| もりいくすお | - | comments(2) | - |
小説「怪異談 忠臣蔵」18

小説

怪異談 忠臣蔵

〜ゾンビが出てくるやつ〜
(連載18)
 

 

この作品はフィクションです。文中に出てくる名称と、実在の個人名、団体名とは一切関係がありません。

本編には、暴力的なシーンが含まれてございます。
また、たいそう昔の設定なので、現代では不適切と思われる表現が含まれることもございます。
あらかじめご了承の上、ご覧くださいませ。 

※文中の「のろま」とは、ゾンビのことでございます。
 

 

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 十二 内蔵助江戸下向

 

 松之大廊下事件から一年と四ヶ月ほど経って、ついに内匠頭の舎弟・大学が広島は浅野の本家に左遷…という厳命が下った。

 大石が念じていた家の再興の希望は絶たれたのである。

 腹わたをズタズタにちぎられる思いで、内蔵助はあらためて討ち入りの快挙を急がんと決心した。

 京都山科に浪宅をかまえ、敵の目を欺くために酒色にふけっていた大石内蔵助が、いよいよ討ち入りのために江戸下向を決心したのは、この時である。

 

 十一月初めになると、大石は江戸に入る前、川崎の平間村の友人宅に、京都や大坂から先に変名して暮らしていた、忠義に熱い府内の同志を集めた。

 寄ってくる者はみな、武士であったり町人、医者というふうにさまざまな風体をしている。

「これまでの内蔵助のとってまいった行動には、さぞかし不満足もあったことでござろう」

 内蔵助は一同を見回す。

「我らは世々浅野家の禄を食み、御恩を蒙ったものでござるから、どうしても一縷の望みを捨てきれなかった…。しかしこの度のご沙汰にて、まったくお家は絶えもうした…」

 部屋に緊張が走る。

「おのおのがた!いよいよ亡君の無念を晴らしたてまつるぞ」

 来る時が、来た。

 列席の面々はいずれも、喜色満面にあふれた。

「江戸表にあるものはみな満足でございます。 大夫なくして軽輩だけで無理をし、仕損じれば実に末世の笑いもの。忠義が却って不忠となっていたことでございましょう」

 安兵衛は内蔵助の前へ進みいでて、興奮気味にそう言った。

 

 赤穂で誓紙血判をした百名ほどの浪士は、その半分たらずに減っていた。

 それでも彼らは、苦心に苦心を重ね、あらゆる手段をめぐらし、吉良邸内のようすを探って、確実に上野介が在宅している日取りを探りだした。

 

 

 十三 疑惑

 

 ある晩、ひさしぶりに十二分に酔った安兵衛が、居酒屋の木戸を開けて出てくる

「じじい、また来るぞ」

 すると軒先で安兵衛に声をかける者がある。

「安兵衛…」

 声のするほうを向くと、そこには清水一学の姿があった。

「おお…。…一学ではないか…」

 よくよく闇夜にヌッと現れる奇っ怪なやつ。

 だが今夜の一学は、いつぞや再会した時とはなにか違う、妖気のようなものをはらんでいる。

「どうだ。ひさしぶりに」

 安兵衛は取り繕うように、いま出てきたばかりの店に一学をぎこちなく誘ってみる。

 黙ってあとから、店の中へついていく一学。

「じじい、また来たぞ」

「アレ安さん、なにか忘れ物で」

「なんの。朋友と酌み交わすのだ。どんどん持ってこい。肴の一両と酒を五升持ってこい」

 冗談を言っても、いっこうに二人の空気は変わらなかった。

 酒が運ばれてきても、安兵衛がお互いの一合枡に酒を注いでも、慎重の態度でどちらも容易に口を開かない。

 特に一学は枡を盛ったまま、ジッと安兵衛を恨めしげに、また睨むがのように見てなにやら思いつめている。

 内兜を見透されるようで、なんともきまりが悪い。ともかくいつもの、この男ではない。

 安兵衛は一気にガブリッとやると、一学を見てニコリと笑ってみせる。

 笑顔にひっぱられて一学が、重たく口火を切った。

「やっぱりのろまは、退治をせず、役人に突き出すのが良いか?安兵衛」

 出し抜けに何の話だろうと思いながら

「なんだ、またそれか。良いとか悪いではないよ。お役目の時は言いつけを…」

「じゃあ、じゃあいまは?お前は、浪々の身だ」

「…いま?さて、どうかな」

 続けて、小さく絞りだすような一学の声。

「貴様は…吉良様を殺そうとしているのか」

 酒を口に運びかけてた安兵衛の動きが、一瞬止まりかけたが、またそのままガブリ。

 こういう誘い水に乗っかって、郡兵衛は去って行くこととなった。

「なにを言うのかと思えば」

 酒をつぐ。

「隠すな。…吉良様は…、生きておられるぞ」

 安兵衛はこの言葉を挑発と受け取った。

 乗るまい。

「…そうか。なにしろ上杉家ではもう、屋敷内はのろまでひしめいておる、病家トンビなどという妙な評判も聞いておったが。息災とは重畳、重畳…」

 かぶせるように一学は

「どうして上杉家でご病中なのは、綱憲様たったおひとりだけじゃ」

 これには安兵衛の動きが止まった。

 興味のある話である。

「ただひとり?これは異な。てっきり…」

「綱憲様と吉良様のご容態は、進むのがちと遅い。噛まれて化けたのろまとはわけが違うのだ。…知行に長けた、ご家臣のお陰でな」

「ハテ。そんなに当てになる、祈祷か医道の心得のある者が、上杉家にあるのか?」

 安兵衛が話に引き込まれていく。

 一学は子供がいやいやをするように首を横に振ると

「キリのほうじゃない。ハナのほうなのだ…」

 一学はここで酒をグイッとやって、また酒をつぐ。そしてまたせわしなくグッとやる。

「…ハナ??」

 一学はなんだか悔しそうに、壁の隅を睨みつけながら小さく

「綱憲様と大殿様は…一服盛られたに違いないのだ…」

 と言うと、真っ直ぐ安兵衛の眼を睨んで

「のろまの毒を、な」

 突拍子もない話に、安兵衛は固まった。

 

 

 

 

 もともと吉良上野介の妻は、上杉家の女子であり、三代当主が逝去したところで跡継ぎがいなかった上杉家に、吉良夫妻の実子・綱憲を養子に出している。

 ところが成長した綱憲がなかなかの浪費家で、藩の財政が苦しいにもかかわらず書院の造築や、趣味で能舞台を新築したり、高額の装束を新調したりした。

 そしてたびたび実父で派手好みの吉良に、上杉家の蓄えを資金提供していたのだが、これがなかなかに膨大であった。

 さみしかった上杉家の財政は、逼迫に輪をかけたものだった。

 家督問題は解決したが、米沢の貨財をかすめる厄介な荷物まで背負い込んだものだと、代々仕えている上杉家家臣たちは、業を煮やしていたのである。

 それがためなのか、そもそも三代当主を毒を盛って殺したのが、吉良上野介ではないかという悪い噂まで内部から立っていた。

 そもそも上杉家には毒殺にまつわる話はすでにあって、吉良上野介と妻・富子とを取りなした会津藩主・保科正之の娘も、毒殺によって不帰の客となっている。

 真相はあきらかではないが、正之の妻・聖光院が側室の子を毒殺しようとしたのが、誤って自分の娘がその毒を飲んでしまったと言われている。

 この件の重要な容疑者である聖光院は、事件から三十年ほど経って他界するが、弔問に来た三代目会津藩主・松平正容の袴の裾を、死の床からヌッと手を伸ばし掴んで離さなかったという逸話もあった。

 それがおよそ十年ほど前の話であり、東北にのろまの噂が立ち始めたころと合致する。

 

 一学は上杉家ではなく、吉良から雇われている男である。

 前に会った時から今までの間に、一学は一体なにを掴んだのか。

 それとも妄断しているのか。

「謙信公以来の名家ではな、強欲でややもすると悪計をめぐらす親子には、ほとほと手を焼いておるのだとよ」

「…」

 一学は安兵衛に向き直ると

「ともかくわしは吉良様を守るぞ。士はおのれを知るもののために死す…だ。いざというときは、真剣勝負だぞ、安兵衛!」

 一学はそわそわと、思いありげに物騒なことを言うだけ言いおいて勘定を台に叩きつけると、店を出て行った。

 残った安兵衛は、黙って、飲み続ける。 

 一学はまだなにか言いたげだったが、安兵衛もほじくり出さなかったので、その真意はわからず仕舞。

 上杉家には自分の殿様である吉良上野介に、たいへん不利がかかる陰謀があると言いたげで、それがために吉良が生命を付け狙われるのは迷惑だと、それを切歯しているようす。

 しかしその真相は、踏みにじられた赤穂浅野の武士の一分とは、かかわり合いのないことである。

 安兵衛には、なんの頓着も無い。

 おれがそれを聞いて、どうする?

 自分のやろうとしている大義は、ビクともする了簡ではない。

 殿の意趣を継ごう。

 

 このように、決心を試すかのように、討ち入り決行日の引き伸ばしや仲間の脱盟、今夜のような意外な内情…うわさ話や盲説は、事欠かず次から次へと湧いて出てきては、目の前でフワフワと煙たくただよう。

 それはそのつど、江戸詰の浪士たちの、結束をおびやかす種となっていたが、安兵衛はもうたくさんだとばかりに、風に柳と受け流す。

 吉良上野には死んでもらうしかない。

 ただそれだけなのである。

 

 かつて郡兵衛は「人の命は天にあり」と安兵衛に言っていた。

 その時応えなかった安兵衛は、実は

「命は天にあるにあらず。ただその人に在り」

 と、思っている。

 振りかかる難儀は因果づくとあきらめるとして、自分の道は自分で選ぶ。

 そうして行き先が決まる。

 なにごとも自分次第なのだ。

 その時その時「それが正しい」と信じるままに道を選ぶ。

 正しい道を選ぶには、正しいと思う生き方をする。

 一本気な安兵衛は揺らがない。

 胆の座った男だった。

 

 ただ今夜の一学は脅しでもなく、かどわかしでもない、忠義一途の表れである。

 あいつは今宵、俺を付け狙って待ち受けていたのか?それともたまたま出くわしたのか…。

 ともあれ、運の悪さは、自分の殿様も吉良上野介も、なにやら似たようなところがあるのかもな、と安兵衛は感じた。

 上杉家にしても、とんだとばっちりなのかもしれない。

 

 安兵衛は残りの酒を煽ると、ひとり微苦笑をたたえた。

 

 

 

 

 

●<小説「怪異談 忠臣蔵」17はこちら

小説「怪異談 忠臣蔵」19はこちら>●

 

◯< いっとう最初はこちら。

 

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〜解説〜

 

その日から、300年の時がうつろい…

物語で言いがかりを付けられている、山形県・米沢市。
(すみません汗)
米沢城の本丸奥御殿跡には、上杉家のご霊廟があります。
かつては「忠臣蔵は見ない」とされていた米沢。
上杉神社のガイドさんが殊の外、赤穂浅野が大嫌いで、言い争いにならないように会話をするのに、骨が折れました。(もちろん、たまたまその人だけがそうだったのでしょうけれども)

 

 

▼上杉博物館には、本文に出てくる能舞台が再現され、ときおり、お能のライブもあるそうです。

 

 

そして、お越しの際には米沢牛に舌鼓をお打ちあそばしまし。

 

 

 

 空前のパロディ小説。

 

 謎の多い赤穂事件を作家がフィクションを加えてドラマ化すれば、必ずとばっちりで割りを食うキャラクターというものがございます。
 大悪人にされてしまった吉良上野介。
 殿様の側近で、松の廊下事件のキッカケのように描かれる赤穂藩家臣の藤井&安井のご両人。
 近年では映画「決算!忠臣蔵」において、美濃大垣藩がワルモノになってます。

 え〜…。本作品では、たいへん面目ないのですが、米沢藩に申し訳のない疑惑を背負っていただくことにいたしました。

 実在の個人名、団体名とは一切関係がありません。

 どうぞあしからずご容赦願います。

 あ、あと、「のろまの毒」、につきましては「怪異談 忠臣蔵04」(リンク)にて、触れております。


 

更新はだいたい、土曜日とか日曜日です。

 

 

どうぞごひいきに!

 

 


もりい

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小説「怪異談 忠臣蔵」17

小説

怪異談 忠臣蔵

〜ゾンビが出てくるやつ〜
(連載17)
 

 

この作品はフィクションです。文中に出てくる名称と、実在の個人名、団体名とは一切関係がありません。

本編には、暴力的なシーンが含まれてございます。
また、たいそう昔の設定なので、現代では不適切と思われる表現が含まれることもございます。
あらかじめご了承の上、ご覧くださいませ。 
BGMに、「死霊のえじき」のサウンドトラックをBGMにして(53min18s分強経過したあたりからでもいいかも)いただくのがよかろうと存じます。


※文中の「のろま」とは、ゾンビのことでございます。
 

 

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 安兵衛が颯爽と道場を飛び出し、郡兵衛が続いた。

「隣の爺婆(じいばあ)だ。ホリ!子どもたちを!」

 安兵衛に言われてホリは子供をかばおうとしたが、正太郎がすり抜けて壁にかかった木刀を取り上げると、安兵衛たちの後を追う。

 さっきはうろたえて手も足も出なかった少年だったが、ここで師匠に勇ましいところを見せたいというのであろう。

「あッ!正太郎さんッ!」

 安兵衛が、隣の糊屋のばあさんの家の戸を開けると、異様な光景が目に飛び込んできた。

 天井からは、まじないの切り紙がまるで満開の藤の花のように、どっさり垂れ下がっており、壁には、魔除けのものだろうか、お札がそこいら中、ところ狭しと張り巡らされている。

 すわ火事か?と思うほどに香が焚かれて、視界が遮られ、煙たい。

 だんだんと煙がはれる中に、中央でそこのうちの主人らしき老人が、髪もぼうぼうでさしうつむき、力無さそうに突っ立っているのが見えてくる。

 腰に巻かれていたと見えるじいさんの足もとの縄には、たくさんの御幣が挟み込まれている。

 その灰色い顔は、明らかにのろまに化けていた。

 郡兵衛は安兵衛を押しのけて、じいさんにまっしぐらに飛びついていった。

 なにやらたいへん積極的である。

「なんだい安さん。出て行っておくれっ。おじいさんは今日は具合いが悪いんだよ」

 裸足で土間で立ち尽くしているばあさんを、安兵衛はなだめるように肩を軽く叩いた。

 ところがこのばあさん、間もなく入ってきた正太郎にハッとすると、彼の小さな体にむしゃぶりついた。

「うわあ」

 てっきり悪漢かのろまを退治てくれようと勇んだ正太郎であったが、まさか、煙幕の中から再び、ばあさんに襲いかかられるとは、思ってもみなかったので、不意をつかれてたじろいだ。

「坊や!おしっこだよ!お前さんのおしっこをおくれな!」

 ばあさんは正太郎の急所あたりをまさぐり始めた。

「血まよったかッ!不埒なばばあだッ!」

 安兵衛は正太郎から、年寄りの帯際を掴んで引っぺがす。

「わあん!」

 と、尻餅をついたばあさんが年甲斐もなく、また泣いた。

 郡兵衛のほうを見ると、なにやらまだ、じいさんともみ合っている。

 かつての、のろまに対する容赦無い態度を思えば、なんだか手こずって見えるのは、正太郎の目を気にしているからか?

 安兵衛が割って入り、郡兵衛に掴みかかってる爺さんの足もとの縄紐(おそらく、これで動きを制限されていたのだろうが、それが解けて、ばあさんはおののいたようである)を掴むと、爺さんの腕と胴体を縛り上げた。

 爺さんの腹からは、いつの間にか、血が流れ出ている。

「かくれのろまだ」

 血のついた刀を収めながら郡兵衛が言う。

「爺さんはのろまなんかじゃないよっ」

 ばあさんが叫ぶ。

「後生だから、坊やのお小水を、爺さんにかけてやっとくれ…」

 正太郎に懇願するばあさんは、のろま対策の間違った民間療法を未だに信じていた。

 いつか回復するだろうと、かくまっていた爺さんは、すっかり化け切っている。

 先ほど人さらいのまね事をしようとしたのは、正太郎の小便が薬になると思っての事だったらしい。

 茶箪笥の上を見ると、仏壇代わりのそうめんの木箱に燈明が上がっており、そばにいまでは廃れた奇薬の袋が何服か乗っている。

「手荒なことをしてすまなかったなばあさん。じいさんは手遅れだよ。おまえさんもこれを飲んでたならお医者に診てもらったほうがよい」

 

 

 

 

 まもなく役人が来て、年寄りふたりが召し捕られ連れて行かれるのを見送ると、郡兵衛は正太郎たちを道場の中に誘った。

 ホリは、正太郎たちの仇が元赤穂の武士だと言ってることについて、安兵衛にいろいろ聞きたいことがあったが、日をあらためようと思った。

 そして帰ろうとした時、郡兵衛が正太郎に向かって

「正太郎。お前の腕前なら人の首も一刀のもとに斬れるだろう」

 と物騒なことを言い出すと、腰の長いものを少年につきだした。

 なにが始まるのだろうとホリは、表戸を途中まで締めたところで止め、思わず見入る。

「はいっ」

 よくわからないが、なんとなく胸を張って刀を受け取る正太郎。

 初めて持つ本身はズシリと重たい。

 すると郡兵衛はその場にベタリと座り、襟首をガッと押し寛げた。

「さっ、俺の首を斬れっ」

「えっ」

「郡兵衛。なにを」

 神棚に手を合わせていた安兵衛がハッと振り返った。

「ここを少し汚すぞ。お前たちふたりにあらためて申すが…俺はな。俺は、御ん身らのためには父の仇だ」

「ヒェッ」

 姉弟は驚いて郡兵衛の顔を見る。

「内藤新宿で下坂十太夫殿を斬ったのは、俺なのだ。…こうしてお前たち姉弟と会ったのも、親父殿のお引き合わせだ」

 郡兵衛は息が荒くなっている。

 ただただうろたえるばかりの姉弟。

 安兵衛もホリも固まっている。

「早くしないと、俺はのろまになるぞっ」

 郡兵衛はそういうと袖をまくって血にまみれた二の腕を出した。

「先ほどのおじいさんが…?」

 思わずホリが言う。

 どうすることもできない姉弟。

「さあ、抜くのだっ」

「郡兵衛ッ」

 姉弟には、いままで郡兵衛が足りない生計(くらし)の中から、彼らをを養ってくれていたことは、子供ながらにもわかっていた。

 そんな恩のある男を出し抜けに親の仇と言われて、どうして恨むことが出来よう。

 子どもたちは、三人の大人の顔を交互に見ながら、混乱を極めた。

「おい郡兵衛。もしや内藤新宿でも、その下坂殿はこうであったのではないか?」

 安兵衛の言葉にハッとする姉弟。

「どういうことですか」

「言うな。安…長左衛門」

「話してわかることなら、あたら命を落とすこともあるまい」

「そうですよ郡兵衛様。この子たちにはあんまりです」

 ホリがなだめるようにして口を挟んだおかげで、張り詰めた空気が少し変わった。

「おそらく、お前方の父上もあの騒動でのろまにやられたのであろう。コレと同じように懇願されて、郡兵衛は仕方なく下坂殿をあの世に送ったのに違いない」

 郡兵衛は決心が揺らぎ、その場にガクッと両手をついてうなだれた。

 姉と弟は父親の勇気と、郡兵衛との関係、そして郡兵衛の恩情に感動したが、これまで父のかたきを討つことが心の支えとなっていたので、複雑な心持ちであった。

 仇を討ち果たす事こそが、郡兵衛への恩に報いることだと、ソレを一途に来たのに、恩師が仇なのだ。否、仇は仇ではなかった。

 ふたりは戸惑いを隠せなかったが、おそるおそる郡兵衛に近づくと、なぐさめるようにソット肩や腕に手をやった。

「せんせい…」

 小雪は泣いていた。

「お父上は、俺をのろまから助けてくださった。でもその時、とうにお父上は化け物に食いつかれておったのだ。済まぬ。御身たちの孝心を知ったら、さぞかしお喜びになるぞ」

 郡兵衛は姉弟を抱えるようにして、三人はしばし涙に暮れた。

「それからお前…」

 安兵衛はそう言って、郡兵衛の腕を取ると傍にあった雑巾で血を拭った。

 噛みあとは、無かった。

「隣の爺さんの歯は土手ばかりなのだ。なんだってこんな真似まで」

「…ふたりで、話させてくれぬか」

 ホリは姉弟を外へ連れだした。

 

 

 

 

 道場にふたりきりになると、郡兵衛はゆっくり話し始めた。

「俺は卜一の隠居(吉良上野介)の件が終わったら、腹を切るつもりだった。本当はそのときに、正太郎に介錯してもらおうと思っていたのだ」

「良い考えではないか」

「事情が変わった。俺は仲間から、抜ける」

「なにっ?」

「世話になってる伯父が、こんな素浪人に婿入りと、再仕官の話を持ってきてくれた。亡君三回忌までは心苦しいと考えを話したが、聞き入れてもらえん…」

「似たような話は、仲間連中にいくらもある。みんなじょうずにあしらっているではないか。その日まで方便をつらぬけ」

「ところが伯父は『其方は吉良殿を討つ心底があるから不承知なのであろう』と、こうなのだ…。それを公儀へ訴え出るとまで言い出した」

「伯父御はどうしてそれを」

「迂闊だった。カマをかけられたのだ。俺はうっかり驚いてしまって、挙動を見ぬかれた」

「…」

「『縁談を受け入れれば、決してこの儀は口外いたさん』と、こう申すのだ。もう、受け入れるしか無い」

「それでお前、このところふさいでおったのだな」

「これも前世の悪縁か。ああ憎い太夫だ。さっさと松坂町を訪ねれば良い物を。もたもたしているからこんなことに…」

「なにも死のうとせんでも…」

「不忠武士。犬侍。臆病未練な奴と仲間から後ろ指をさされるのは、たまらん」

「…お前が卑怯な人物でないことは、党中の者はみな知っておるよ」

「…」

 郡兵衛は悔しそうにげんこつで床を叩いた。

 

 高田郡兵衛はやがて、いたたまれなくなってみんなの前から姿を消したが、一緒に連れて行った正太郎たちは、件の伯父の世話で、某家に召しだされて下坂の家を残したという。

 

 友人がそうと言うなら、そうなのだろうと、その時ばかりは疑いもなく、高田郡兵衛の脱盟を素直に飲み込んだ安兵衛ではあったが、日に日に、なんだか化かされたような、少し白けたような気分をひきずるようになった。

 時が経つほどにモヤモヤしたものは膨らんでいき、気が付くといつの間にか

「もとよりあいつは一人きりで腹を切る覚悟は、無かったのだなあ…」

 とか

「はたしてあいつは本当にあの子に介錯を任せる気があったのだろうか」

 などと、フと思いおこすのだった。

 安兵衛は、度々そういうつまらないことまで頭に浮かべる未練な自分自身に苛ついたものだったが、高田郡兵衛の脱盟は仲間たちをはっきり色めき立たせた。

 討ち入りを強く推し進めていた最右翼であった男が、不意に抜けたのである。

「斬ればカタナの汚れ。踏み殺せ!」

 と、なじる者さえあった。

「安兵衛。お前、くやしくないのかっ」

 焚きつける仲間もあったが、そんな時でも安兵衛は黙っていた。

 そして仲間と解散したあとは、稽古場でひとり、汗びっしょりになって剣道修行に励んだ。

 そうしているといつの間にか、安兵衛の中のモヤモヤはどんどんと小さくなっていく。

 

 この頃は高田郡兵衛のほかにも、弓矢八幡に誓詞血判した仲間がひとり、またひとりと抜けていったのも事実だった。

 

 

 

 

●<小説「怪異談 忠臣蔵」16はこちら

 

 

◯< いっとう最初はこちら。

 

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〜解説〜

その日から、300年の時がうつろい…
両国の、堀部安兵衛の道場跡と言われている場所は、現在公園になっています。
近所には四十七士、堀部弥兵衛や前原伊助の住んでいたという場所もあると言われています。
この近辺には吉良上野介邸あとの本所松坂町公園や、回向院など、忠臣蔵ゆかりの場所がいくつもあります。

 

 空前のパロディ小説。

 

正太郎くんたちと、浪士のお話。

まんまじゃありませんが、講談のネタが元になってるのを、とっくに気づいた人もいらっしゃることと存じますが、吉川英治先生も池波正太郎先生もやってるので、そういうのやっていいんだと思って、やりました(てへ)。

 

講談ネタとあっちゃあ、「隣人ののり屋のババア」は必須ですが、このお話では旦那がおります。

 

さて

史実でも脱盟者の高田郡兵衛は縁談で抜けたと聴いております。

この小説よりも、討ち入りを推し進めていただけに、抜けた時の周囲からのブーイングもひときわだったようです。

これ、長編にする才能や体力があったら、こどもの正太郎くんが腕を上げて、かっこよくのろま退治をするシチュエーションがあっても良かったかなあなどと考えます。お姉ちゃんのほうが活躍するんでもいいかなあ。


 

更新はだいたい、土曜日とか日曜日です。

 

 

どうぞごひいきに!

 

 


もりい

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