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小説「怪異談 忠臣蔵」12

小説

怪異談 忠臣蔵

〜ゾンビが出てくるやつ〜
(連載12)
 

 

この作品はフィクションです。文中に出てくる名称と、実在の個人名、団体名とは一切関係がありません。

本編には、暴力的なシーンが含まれてございます。
また、たいそう昔の設定なので、現代では不適切と思われる表現が含まれることもございます。
あらかじめご了承の上、ご覧くださいませ

※文中の「のろまとは、ゾンビのことでございます。

 

++++++++++++++++++++




 いっぽうそのころ下馬先で、事件を知った赤穂浅野家の腕前たしかな家臣や家来たちは、思うように細かな情報がつかめず、戦々恐々としていた。

 その中に堀部安兵衛もいた。

 周囲の同輩が右往左往している中で、ジット目を閉じて別命を待っていたが、胸の内はじれこんでいた。

 ささやかな目撃談から「のろま」が大事な行事の最中に、まぎれこんだらしいことだけはつかめていた。

 こうなれば出番のはずである。

 いまかいまかと待っているが、なかなかお達しが出ない。 

 一刻も早く儀式祭典を打ち切り、その後の憑依者への適切な対応が望まれるところであり、ウズウズしていた彼らに飛び込んできた沙汰は

「赤穂浅野家の担当する、伝奏屋敷の速やかな引き払い」

 であった。

 聞いた浅野の家来たちは、なるほど各担当部署が、とりいそぎ解散を手分けするのだなと思った。

 同時に式典の取りやめ。

 大納得で和田倉門の東にある、勅院使の宿泊所であった屋敷の引き払いに走った、赤穂浅野の家来たち。

 屋敷ではじつに家臣の手際がよく、屏風幔幕一切を速やかにまとめることができた。

 安兵衛も二日ほど前に当番で詰めていたので、勝手がよくわかっており、たいそうよく働いたものである。

 が、まもなく代わりにやってきた戸田家の家臣家来たちを見て「はてな」と思った。

 話が噛み合わない。

 あとから駆けつけた仲間の話では、戸田家は新任であり、自分たち赤穂浅野だけが排除されて、儀式は続行されるとはっきり知らされたと言う。

「なんと!?」

 松之大廊下での出来事が、のろま退治を仕損じたのではなく、我が君主による、いたずらな刃傷沙汰ということになってやしまいか?  

 だとすると、いずくかへお預けになった殿の進退は!?

 藩士の何人かは城に立ち戻り、憤慨を持って抗議に及んだが、将軍家の沙汰とあってはごまめの歯ぎしり。

 どうすることもできない。

 そのころはとっくに彼らの主君・内匠頭は駕籠一丁に乗せられて、愛宕下の田村右京太夫の上屋敷に到着していた。

 安兵衛は諸道具を荷造り、もやってある舟への積み込みを手伝っていたところだったが、事情を聞くと手を止めて

「しまッた!」

 と、叫ぶや飛鳥(ひちょう)のごとく屋敷を飛び出した。

「待て!安兵衛どこへ行く!」

 尻目もかけず、虎の勢いで風を起こさんばかりに飛んで行く。

 目指すは芝愛宕下。
 

 

 浪人していた安兵衛が、今こうしてあるのも、内匠頭が召し抱えてくれたおかげである。

 義父・堀部弥兵衛が、安兵衛の高田の馬場における活躍に惚れ込み、婿養子にとの再三の申し出に安兵衛は気が進まず

「婿の儀は承知いたしても、他姓は名乗れぬ」

 と難題をふっかけて断ろうとしたが、相談を持ちかけられた内匠頭は、旧姓のままでの婿入りを快諾。

 年に似合わぬ弥兵衛の粘りも驚いたが、この浅野内匠頭という殿様のやわらかい物腰にも驚いた。

 安兵衛は、それまで家賃をためていた長屋への支払いも済ませてもらった上、御前にじきじきにまかり出てお目通りがかなった際、主従三世の杯をたまわった。

 浅野家の主従かための「月の組盃(くみさかずき)」という、その月の数だけ何合も頂戴しないといけないという儀式では見事、安兵衛は十二杯を、大鯨が百川を吸うようにたいらげて殿様をおおいに喜ばせ

「安兵衛、見事であるぞ」

 と、お褒めの言葉を賜る。

 ところがお城づとめをしたことがなかった安兵衛は、行儀悪く御前で寝入ってしまった。

 同席していた弥兵衛は、うろたえて安兵衛を起こそうとしたが白河夜船。いっこうに気が付かない。

 内匠頭は、黒縮緬の羽織を、寝ている安兵衛にかけてやると奥へ入っていった。

「一同のもの、下がってよろしかろう」

 そう言われても、弥兵衛だけはそわそわして、相変わらず大いびきの安兵衛を揺り動かしている。

 内匠頭はふすまのこちらから様子をうかがっていたが、ソッと鯉口三寸をくつろげてから「パチン!」と鍔を鳴らすと、安兵衛はガバリと起きて、ふすまのほうをにらみ身構えた。

 内匠頭はこの時、安兵衛を

 「まことの武士…」

 と感心したものだった。

 安兵衛は周囲のようすに気づき、自分の無礼をとがめもせず、羽織まで下し置かれるとはもったいなし…と涙して内匠頭に感激した。

 これが七年前の出来事である。

 

 



 搬送中すでに、内匠頭の意識は朦朧を極めていた。

 自分が起きているのか、眠っているのかすら、はっきりしない。

 間もなく内匠頭に、当日切腹の決定が告げられた。

 内匠頭は憑依に対する処置としても、江戸城内で起こった事件の始末としても、切腹は間違っていない措置…。

 …と、そうは思ったが、どこかで隔離されているはずの、高家の吉良上野介は今頃どうなっているのだろう。

 容態と幕府の仕方が気になり、また自分がいなくなった後の赤穂浅野家についてアレコレ伝言を残さなければと、係に書記を頼んだ。

 しかしこれは何者かによってまもなくもみ消される。内匠頭はそれを知らない。
 

 

 安兵衛が田村邸の裏玄関に到着すると、内匠頭の側用人・片岡源五右衛門が家来衆ともめていた。

「願わくば主人、内匠頭にひと目対面いたしたく、なにとぞこの儀、お取り計らいを…」

「いいや、あいなりませぬっ」

 声を曇らせている片岡は、若い頃から内匠頭の寵愛を受けていた小姓頭である。

 数人の浅野の家来もなすすべもなく、立ち尽くしている。

「片岡様」

 砂埃だらけの安兵衛が声をかけると、片岡は両眼に涙を浮かべていた。

 安兵衛は、その場にガバと両手を支えると

「武士は相身互い。われらを憫然と存じますれば、曲げて願いたてまつりまする!」

 この様子に、田村家の家来衆の顔色が変わった。

「高田の馬場の、安兵衛でござるぞ…」

 ヒソヒソと耳打ちを始める。

 安兵衛の顔はほうぼうに知れていた。

 家来が、田村と検分に来ていた目付に相談をし、彼らは情をもって

「切腹の場所へいずる時、無刀にてひとりだけ対面の儀、さし許しもうそう」

 と許可をする。

「せっぷく…!?」

 安兵衛や片岡たちは動転した。
 

 

 切腹は沙汰でもあったが、内匠頭自らも

「病気が現れて、もしお手向かいでもいたさば一大事。邸内を血潮で汚さぬよう、庭先にて御免」 

 と希望した。

 一国一城の主を無位無官のやから同然に、庭先で切腹をさせたとあっては、伊達本家からどのようなお叱りを受けるか、わからない。

 田村家では騒然となったが、病気の仔細を聞いて仕方がないと判断し、目付けと相談の上で、急いで用意をした。

 水色無地の死に装束に着替えた内匠頭が、切腹の席へと、たよりない足取りで縁側を通るとき、面会を許され待っていた片岡が庭先まで来ているのを見つける。

「源五右衛門ではないか」

「との…」

「源五…予は、かような浅ましい姿に、相成ったぞ」

 袖口を上げると、腕に巻いた包帯に血が滲んでいた。

「…おいたわしや…」

 片岡は顔を上げたまま涙に暮れた。

「もはやこれまでじゃ。後のことは遺言を託した。国許の内蔵助に対面いたさば、必ず仔細を申し伝えくれよ」

 そう言ったつもりであったが、ろれつもまわらない。

 変異して周囲に襲いかからないのは、みるみる自分を蝕んでゆく「なにか」を熱い情念で跳ね返している精神力なのであろう。

 ただもう間に合わない。

 当時の切腹は、短刀を腹に当てる格好をしたところで、介錯人がすかさず斬首する形であったので、内匠頭は立派に最後をまっとうすることができた。

 死ぬまで「自分は正しかった」と心から思えたのが、とにかく清々しかった。

「あとは信頼をおいている家来たちに任せておけば良い」。
 

 

 内匠頭とは同じ年で、少年のうちからこれまで、ずっと側に仕えていた片岡は、この呆気無い今生の別れに、混乱を極めた。

 とはいえ、これものろまに噛まれたのでは成り行きでやむなく、お情けなやと存じながらも「人間であるうちに」武士の道として切腹の座につけたのは、不幸中の幸いと思い、納得させた。
 

 

 一行とともに遺体を引き取った片岡は

「…さぞや上野介をうち洩らせしを、ご無念におぼしめすことであろう…」

 むせびながら語った

「げにも。一刻も早く、処置せねば」

 万夫不当の安兵衛も、この時ばかりは拳を固めて悔し泣きをした。
 しかしこのすぐあとで赤穂浅野家の「取り潰し」の沙汰を聞いて、愕然とする。

 

 

 わけがわからないうちに、何故か君主の切腹と家名断絶。

 突如として、路頭に迷う赤穂浅野家の家来と家臣たち。

 

 情報不足で、鉄砲洲の浅野家江戸上屋敷は大騒ぎになっていた。

 ある家老は言う

「おのおのがた!短気を起こしてはならんっ!千万言うてもかえらぬことじゃ。当屋敷を引き取るも三日間…」

 ところが藩士たちは合点がいかない。

「それは異なこと!なぜ当家ばかりがこんな目に!?」

「吉良上野はどうなりました!?」

「ご公儀の命令に従って、あれほど手柄を立てたに、かようなお手軽な退役とは、あまりと言えばあまり!」

「殿が書いたという遺言はなぜ届かぬ!」

「さては幕府め、縁続きの吉良をかばって…」

「いや桂昌院様の出世を優先させたのであろう」

「とにかくこの知らせ、急ぎ播州赤穂の大石殿に報告をせねば」

 

 赤穂浅野家に対する処分は、当時の大小名への改易政策から見ると、珍しくはなかった。

 この四十八年の間に、除封した大名は五十九家。減封四家にものぼっていた。

 側杖を食ってはつまらないと、幕府の威を恐れて、国内外の諸大名に今回の件について異を唱えるものはとても無かった。





●<小説「怪異談 忠臣蔵」11はこちら

小説「怪異談 忠臣蔵」13はこちら>●

 

◯<いっと最初はこちら。

++++++++++++++++++++

〜解説〜

 

 

空前のパロディ小説。

 

書いていて気づいたことなんですけど、ふしぎと、ゾンビに振り回されることで、理不尽なお家つぶしや、藩士の悲憤慷慨のアウトラインがくっきりしてくるんですね。

身の上に起こったわけのわからないことについて「なんじゃそら」と。。

更新はだいたい、土曜日とか日曜日です。

 

どうぞごひいきに!

 

 


もりい

| もりいくすお | - | comments(2) | - |
小説「怪異談 忠臣蔵」11

小説

怪異談 忠臣蔵

〜ゾンビが出てくるやつ〜
(連載11)
 

 

この作品はフィクションです。文中に出てくる名称と、実在の個人名、団体名とは一切関係がありません。

本編には、暴力的なシーンが含まれてございます。
また、たいそう昔の設定なので、現代では不適切と思われる表現が含まれることもございます。
あらかじめご了承の上、ご覧くださいませ
※お読みの際には「28週後…」のサウンドトラックをBGMにしてください
※本文中の「のろま」とはゾンビのことです。

 

 

+++++++++++++++++++

 

 

 

(連載11)

 

 六 刃傷!松之大廊下

 

 元禄十四年。

 その年は、皆既日食で始まった。

 天心変異を思わせる、不吉千万な新年の幕開けである。

 

 東北が起こりだと言われているのろまの被害が、特に米沢上杉家の、桜田は江戸上屋敷で甚大だと、どこからか噂が立っていた。

 飢えから動物(やまい狗)の死肉を食べた憑依者が、ある日上杉家の用人に食いついたものと伝えられている。

 いま容態が手重いのは、よりによって当主の綱憲であるとも言う。

 彼が平臥なって(ばしなって)床についているらしいところまでは、関係者の耳に入っていたが、あらゆる真相が、はっきりしなかった。

 

 いっぽう、幕閣には頭痛の種があった。

 上杉綱憲の実父である、吉良上野介にも憑依が疑われていたことだ。

 上野介は、養子に出した実子に会いに、度々上杉家上屋敷に赴いている。
 鎌倉時代より代々、将軍家や天皇家に随順してきた吉良家。

 その末裔・上野介義央(よしひさ)もまた、有識故実に通じて古風万端に慣れていた。

 これまで朝廷と幕府をつなぐ重要な連絡役を、幾度も完璧に務めあげ、儀式典礼指導の仕事ぶりは、老齢になった今も、誰からも認められている。

 この春の江戸城における恒例行事においてもまた、幕府はこの老人を頼りにしており、決して粗相があってほしくなかった。

 その吉良上野介に、呪いの噂がたったのだ。

 言われてみれば、どこかしら様子がおかしいようにも見える上野介に、真相を聞こうと老中方が尋ねると

「根も葉もない噂でございます。私達もすっかり迷惑しております。いささかも心配はございません」

 と、老人は笑って答えたものだった。

 

 この年三月に、京都の朝廷から、東山天皇の勅使や、霊元上皇の院使を江戸城に迎えるその行事というのは、恒例のことであった。

 特にこの年は、将軍・徳川綱吉の生母・桂昌院に従一位という、女性にはこれまでに無く高い御位(みくらい)を賜る勅命がかかった特別に重たいものであり、使者の接待にはどうしても古法法式のすべてに練達した、高家筆頭の上野介の指南が必要だった。

 念には念を入れて、勅使や院使の饗応役には、その経験がある家々から選ばれた。

 すなわち伊予国吉田の城主・伊達左京亮と、のろま警備の腕達者でもある播州赤穂の城主・浅野内匠頭である。

 ただ、吉田伊達家としては饗応の経験が幾度かはあるものの、左京亮はこの役目は初体験で、しかも年も若く、たよりなかった。

 そういうわけで内匠頭はあちこちに気を配る必要があった。

 自分の体調も含めて。

 

 三月十四日。

 これまで三日に及んだ陪観、饗宴は無事に予定どおり進み、あと一日何事も無く済めば万事大成功である。

 そんな折、その朝早く、内匠頭の手には蘭学医からの、吉良の体調に関する報告書が舞い込んでいた。

「亥の刻ばかり 吉良様 御手足ひえ、御脈にむら。たちまち撹乱になやむ。心身覚えず。夜を通じて辛苦せり」

 内匠頭の頭には、日頃から聞いていた上杉家内ののろまの噂と、今朝の吉良の様態の因果関係が瞬く間につながった。

 実は内匠頭にとって、吉良老人に憑依の疑いがあると知ったのは、この時が初めてだった。

 自分が饗応役に選出されたわけも、これで今ようやくわかった。

 若い時に一度この大役を果たしているのにもかかわらず、生涯に二度もこんな面倒な役が回ってくるなどとは、おかしな事だと思ってはいたのである。

 そんな重要な件を伏せて、儀式を強行する老中方には腹も立ったが、いまはそれどころではない。

 責任感の強い内匠頭は、式典にさわりがあったり、朝廷の使者に万が一のことがあってはならんと、まずはとにかく吉良を探そうと考えた。

 

「吉良殿!吉良殿はいずこ!」

 

 摺る墨を流したかのごとく、陰々と立ちこんだ曇天の江戸城内は、雨戸が閉まってたいそう薄暗かった。

 春なのに響き渡る万雷が、内匠頭の不安をいっそうに掻き立てている。

 「ぎゃっ」という叫び声を聞いて、内匠頭が六十六間・大広間の四の間、またの名を松之大廊下まで駆けつけてみると、とたんに異様な光景が目に飛び込んできた。

 直垂姿の諸大名五〜六人、および高家衆と関係者二〜三人が遠巻きにあたふたと、とっくみ合ってるふたりの人物の様子をうかがってる。

 狩野常信が筆を振るった、極彩色豊かな松の絵のふすまにもたれかかって、じゃれついているようにも見えるふたり。

 何人かが

「内匠殿!こっこれを!」

 とブルブル震える手で指し示す。

 足にまとわりつく長袴をうっとおしそうに脇から手を突っ込んで送り、早足でふたりに近寄る内匠頭には、次第にそれが老人が茶坊主に襲いかかっている様子だとわかった。

「さては!」

 茶坊主に襲いかかっているのは誰あろう吉良上野介であった。

 教養の高い文化人には、あるまじき戯れである。

 その病(やみ)ほうけた顔には、薄暗さの中でも、間違いなく変異が認められた。

 駆け寄る内匠頭を気取った老人は、茶坊主を放り出すと迎え討つように身を翻し、存外な素早い身のこなしで飛びかかってきた。

 内匠頭には見慣れた憑依者の動きであったが、咄嗟にたくさんのことが一度に頭の中をかすめ、対応をためらわせる。

 江戸城内で鯉口三寸抜けば、赤穂浅野家は断絶になってしまうという定法がある…。

 しかもこの松之大廊下は式を行う白書院に通じる大事な場所柄…。 

 とは言え、何に変えても、勅使や院使の身に危険が及んではいけない。

 よし。もう正気に戻ることはない年寄りには即刻、浮かんでもらうしか無い。

 自分や家のことは二の次である。

 そんな考えを巡らせる内匠頭の隙をついて、上野介はクワッと内匠頭の手首に食いついた。

「あれ捕らえよ!」

 と声をかぎりに叫びながら、反射的に腰の小刀を抜き打ちに、相手の頭目掛けて切り込んだ内匠頭。

 見事に老人の額を切りつけたが、小刀は烏帽子の竹輪に「ガチッ!」と当たり、頭を割ることはできず、タラタラっと破血するだけだった。

 慌てて仕損じた。

「頭をっ」

 内匠頭は周囲の協力を仰いだつもりだったが、老人の奇行にすっかり打ち驚いていたのと、内匠頭が小刀を抜いたことにさらに驚いて、駆けつけた同僚の伊達左京亮すら固唾を呑んで、手も足も出ない。

 ふらふらっとする老人の頭を狙って、二の太刀をふるおうとしたその一刹那、何者かが内匠頭をグッと後ろから羽交い締めにする。

 「捕らえよ」の声に駆けつけた、怪力無双の梶川与惣兵衛、御台様のご用人である。

 自由が効かなくなったおかげで、振り下ろした小刀は軽く老人の背中を切りつけただけだった。 

 事態が飲み込めない梶川は、ともかく抜刀している方を取り押さえるべきと力任せに内匠頭をねじ伏せる。

「殿中でござる!殿中でござりまするぞ浅野様!ご乱心召されたかっ!」

「ええい離せ!あと一太刀!」

 ふたりの高家が、あたふたと背中を打たれてころがった老人を抱えあげる。

 

 

 

 

 斬られた衝撃のせいなのか、老人の動作は鈍り、先程のような襲撃を周囲に図ろうとしない。

 老人は二太刀も浴びせられて、キョトンとしている。

 すっかり立ち尽くしていた伊達左京亮は、このときやっと我に返り、老人を詰め所へ連れ去ろうとする高家衆に小声で

「吉良様ご大病。血には触らぬよう」

 っと、ソット声をかけた。

 

「刃傷でござるぞーっ」

「かたがたお鎮まりなされい!」

 次第に城内に騒ぎがひろがりはじめている。

 

「南無三宝しなしたり。たしかに噛まれた。症候が出る前に自分を隔離せねば」

 溜まりの場から、御目付が現場に駆けつけると、内匠頭はすかさず

「この上の狼藉は致さぬ。それがしと吉良殿を、この城からどこかへ遠くへ一刻も早くっ!」

 と、畳の上におさえつけられているまま、声を上げた。

 ともかく周囲はわけがわからずポカンとして、内匠頭がなにやら遺恨を以って、吉良と決闘をしていると勘違いした者さえいた。

 

 内匠頭が蘇鉄の間で、後命が下るのを待っているとき、伊達左京亮は別の部屋で、老中とその後の取り計らいについて話し合いながら、内匠頭の言葉を思い出していた。

「それがしを、どこか遠くへ」

 病変の恐ろしさを知っている、数少ない係としては、ここでどう立ち回るか思案のしどころである。

 内匠頭を、鉄砲洲にある彼の屋敷まで護送するには遠かろうと一瞬、汐留の自分の本家筋の上屋敷を差し出そうかとも考えた。

 しかし、ご本家に面倒が及んではいかんと思いなおし、芝は愛宕下の分家・田村右京太夫邸にまずは避難してはと老中方を説き立てた。

 城からも離れて都合も良い。

 非常の際にろくになにもすることができなかった左京亮としては、身内の屋敷を差し出すことで、一矢報いようと思惟したのだった。

 この提案はすぐに受け入れられ都合よく登城していた奏者番・田村当人の同意も得て、内匠頭に縁故がないことが確認されると、瞬く間に護送の手配が整った。

 じゅうぶんな詮議もないまま、半ば無理矢理に内匠頭を、場外に出そうとする始末柄に対して、事情がよく把握できていない目付けたちは、成り行きにたいそう不審を感じた。

 同時に、ともかく自分を退城させてほしいと訴え続ける内匠頭を、ただただ「潔い」と思ったものだった。

 内匠頭の気持ちは逸っていた。

 もともと憑依されたと疑っていた自分が、こんどはしっかり噛みつかれた。

 駕籠の中で腕をめくると、老人の弱い噛み跡からジワジワと血がにじみでて、着衣を汚している。

 万事は休した。

 

「ともかく上杉家で病気を隠し、放っておくからこの度のようなことになったのだ」

 と、歯噛みする。

 

●<小説「怪異談 忠臣蔵」10はこちら

小説「怪異談 忠臣蔵」12はこちら>●

 

◯< いっと最初はこちら。

++++++++++++++++++++

〜解説〜

 

ものがたりはいよいよここからが面白くなるわけでございますが!

なんとなんと!

お時間がいっぱいいっぱいでございます。

(なんつって)

 

空前のパロディ小説。

 

松之大廊下では、内匠頭がゾンビになって暴れるのじゃないかなんて不届きなことをご推察なすった方もおられるんではないでしょうか。笑

 

つまりですね、このご時世、吉良さんに対して「死んでかまわない」と思わせるには、もうゾンビになっていただくしか無いんですね。

これなら、くちさがない人でもテロとかなんとか言ってくれますまい。

 

で、最初挿絵には吉良さんのお顔はもっとお化けみたいに描いてたんですが。「半のろま」みたいな状態なのと、あとは経緯も評しまして、伝えられる「美男」系で処理させていただいております。

 

よろしくお願いします。

 

あと、余談ですが桂昌院の従一位がどうのこうのという話と、この勅使い院使を迎えるイベントは、あんまりダイレクトな因果関係はないそうですな。

モーそういういい加減な感じは、今後もたいへんよく出てまいります。お許しを。

更新はだいたい、土曜日とか日曜日です。

 

どうぞごひいきに!

 

 


もりい

| もりいくすお | - | comments(2) | - |
小説「怪異談 忠臣蔵」10

小説

怪異談 忠臣蔵

〜ゾンビが出てくるやつ〜

 

 

この作品はフィクションです。文中に出てくる名称と、実在の個人名、団体名とは一切関係がありません。

本編には、暴力的なシーンが含まれてございます。
また、たいそう昔の設定なので、現代では不適切と思われる表現が含まれることもございます。
あらかじめご了承の上、ご覧くださいませ
※お読みの際には「死霊のえじき」のサウンドトラックをBGMにしてください(53min18s分強経過したあたりからでもいいかも)

 

※本文中の「のろま」はゾンビのことです。

 

+++++++++++++++++++

 

 

 ふたりが音のするほうに向き直るとまもなく、建物の角から馬に乗って槍を抱えた武士と、お供をして走ってくる六尺棒や天秤棒、さすまたを小脇にかかえて鉢巻をした男衆(おとこし)数名が派手に飛び出してきた。

 火の付いた松明を持っているものも何人かいる。
「こっちにウヨウヨいやがったーっ!」
 相当数をこなしてきているのか、息は多少切らしてはいるが、捕り方たちは手際よく器用に棒を扱って、のろまをひっくり返させていた。
 のろまは松明の火におののいているようで、それが付け入る隙となっている。
 大立ち回りとなった四ツ辻は、とたんににぎやかになった。
 馬上の男がふたりの装束を見て、すぐに素性を心得、手綱を掻い繰りながら声をかけてきた。
「おおっ赤穂浅野家の方とお見受けいたすっ。これは心強い。拙者ことは、内藤家物頭、磯部又五郎ともうします。馬上より御免こうむります。お怪我は!?」
「大事ござらん。拙者は播州赤穂浅野家家来、堀部安兵衛と申しまするもの。今しがた、たまたま宿場に参り、このありさまに驚いております。これから加勢も来ましょうほどに。まずは仔細をお聞かせくだされっ」
 さて、未明に大量ののろまがこの宿場を襲ったようで、一時は騒動になったが、みな閉じまりをして家内に引きこもり、自警団のようなものがすぐに結成されたという。
 ほどなく代官所からも応援が駆けつけると、お互いが助けあってひとりずつ患者の捕縛を頑張っていたが、要領を得ず、取り捕まえてるそばから噛まれるものがいたり、祟りを怖がって及び腰になるものがいて、その者もまた襲われ、といった具合でいっこうに、はかがいかなかった。
 そうして、みるみるとのろまがあちこちに増えていったのだという。
 のろまの群れは、楯突くように襲い掛かってくる手合と、火の手や捕り物から逃れるようにウロウロするものとに別れたらしい。
 安兵衛たちが出会ったのは、火に追い立てられてきた後者のようである。
 郡兵衛は、馬上の男とやりとりをする安兵衛の様子をうかがいながら、事情を聞くより、退治をすればいいのにと苛立ちながら、寄ってくるのろまを蹴倒し続ける。
 いっぽうで、周囲ではもうのろまをていねいに捕縛しようとしているものは、ほとんどいなかった。
 中でも捕り方に混じってのろまに向かってなにやら「くたばりぞこない!」「ここまでおいで甘酒進上!」などと口汚くののしり遮二無二片っ端から薪雑把で張り倒し、頭を叩き割って回っている、乱暴な連中が目立っていた。
 宿場の侠客や、ならずものが意外な奮闘を見せているのだ。
 のろまよりも、とりつかれていない連中のほうが、よっぽど異常に見える。
「無法な奴があるものだ。これ!手荒な真似をいたすな!かならず蹴って倒すのだ。」
 誰も安兵衛の呼びかけに従わない。
 引きつった笑顔でカラカラと笑いながら
「冗談言っちゃいけねえやっ」
「まっぴら御免をこうむりやすぜお役人様。こっちだって生命が惜しいや!」
 見るからに悪相の、端折った尻に彫り物のある男は、一人ののろまの背後に回ると、そののろまの懐に手を突っ込んで、胴巻きのようなものを引っ張りだし、中身を簡単に数えてそれを自分の懐に入れると
「チェッいつもシケていやがるっ。ええい、くたばれ喜三郎!仕方がねえや!おめえに貸した一両二分は負けといてやらあ!」
 そう怒鳴りたて、力任せに友達?の頭を薪雑把で張り飛ばした。
 現場の雰囲気に飲まれたのか、郡兵衛の鼻息はいっそう荒くなっている。
「やるぞっ!いいなっ!」
 そう安兵衛に言うと返事を待たずに
「やっ」
 と叫んで一番近くののろまに向かって槍を突き出した。
 安兵衛も、もはや進退ここに極まったと気合が変わり、「エエままよ」かくなるうえはと、赤鞘から腰の長刀をギラリと引き抜いた。
 さて、「やる」と決めれば堀内流の達人のこの男、腕に狂いが無い。
 前後左右から襲いかかってくるのを真っ向ナシ割り唐竹割り、袈裟斬り、胴切り、車切り。
 当たるを幸いバッタバッタと斬り倒し、あっという間にのろまたちは、安兵衛の刀の錆となった…かに、見えたが、安兵衛に倒された者達は足や腰を折られて、立てなくはなっているものの、皆地べたに這いつくばってうごめいている。
 安兵衛はあくまで、自分の手では始末しなかった。
 刃を返してみな峰打ちにしたのだ。
 周囲の大騒ぎも聞こえないかのように関せず、とにかく当人の帯や腰紐、そこいらへんの長いもので、倒した連中をご丁寧に縛って回った。




 
 乱闘大騒ぎの中、すっかり興奮して次の相手を!と見回す郡兵衛の目に見覚えのある顔が飛び込んできた。
 先ほどの茶店の娘である。
 口の周りを血だらけにして、相変わらず死んだサカナのような顔つきで、こちらにフラフラとやってくる。
 「むすめっ…」
 声をかけてみるが応えは無く、たどたどしい足取りでどんどんと近寄ってくる。
 郡兵衛は躊躇して娘に槍を振るわない。
 ここはまた縄で縛って両親のもとへ戻すか?などと、柄にもなく考えてしまった。
 腰に手をやると、すでに縄は切れていた。
 そのうちに娘は目の前まで迫って、急に形相を般若のように変えると、郡兵衛にすごい力で掴みかかってきた。
「あぶない!」
 そこへタスキがけ尻端折りで、五分月代の浪人風の男が割って入り、娘を引き離すと一刀のもとにその細首を切り飛ばした。
 我に返る郡兵衛
「はっ、お見事」
「なんの」
 言いながら男は手際よく、落ちた娘の脳天に切っ先を立てていた。
 娘の頭部(こうべ)は、大人しそうな、やすらかな死に顔になっている。
「南無阿弥陀仏。さあこんどはおれを斬ってくれ…」
「えっ?」
 自分を助けた見知らぬ男は、刀を鞘に収めると、腰から抜いて脇に置き、出し抜けにとんでもないことを言い出した。
 郡兵衛に背を向けて両膝をつき、襟を引っ張り、差し伸ばした首に手刀で斬る素振りをしてみせる。
 よく見ればこの男、顔色が悪く、額に脂汗がビッシリと湧いている。
「なんと?」
「それがし、元・薩州は島津の家来、下坂十太夫ともうします。仔細あって、浪人を、しておりますが…」
 息が上がって少しうつろになっているその浪人、下坂とやら言う男が、左手に当てた血だらけの鼻紙を取りさると、痛々しく手のひらの小指球が食いちぎられていた。
「これまででござる。さっ、願おう」
 浪人はあらためて 頭を前へつきだした。
「残された子どもたち、子どもたちをどうかお願い致します。小雪と、正太郎と申します。この先の旅籠…武蔵屋におりまする」
 そう言ったつもりだったが、ほとんどろれつが回らなくなっている。
「なんと申した!?子供がなんといたしたのじゃ!」
「はや…く…」
 と言いながら、郡兵衛を見る男の両眼はもう、血走ってきていた。
 身体もブルブルと震えだしている。
 郡兵衛はまたひるんだ。
 こんどの相手は命の恩人である。
「ええい!しっかりいたせ!」
 男の肩を掴み、揺さぶりながら、声をかけるが手遅れなのはわかっている。
 しかしこの男は「まだ」人間なのだ。
 浪人は首を左右に振って、イヤイヤをするそぶりをみせると、突然に郡兵衛の腕に掴みかかり食い付こうとした。
 郡兵衛ははっとして一歩下がると、思わずそのまま袈裟懸けに切り倒した。
「ウッ!…かたじけない…」
 なんと手遅れにならないうちに「まだ人間」の浪人は、自分を斬らせるためにわざと、郡兵衛に襲いかかったのだ。
「しまった!おい!こどもがどうしたのじゃ!」
 喧騒の中で立ち尽くした郡兵衛だったが、吹き出す血潮にまみれながらすでに物を言わなくなった男を見とると、「戻ってこないように」無念な心持ちで、とどめを刺した。
 
 宿場に応援が駆けつけたのは、安兵衛たちの到着から一時ほど経ってからだった。
 その時にはすでにもう、宿場をうろつくのろまはほとんどいなくなっており、通りは屍山血河の修羅場と化していた。
 心配の火事のほうも、数件焼けたところで、シトシトと降ってきた小雨の恵みも幸いして、奇跡的に鎮火に及んだ。
 火事の何件かは、のろまが侠客たちに、着ている着物に火をつけられ、そのまま燃える身体でうろついたのが原因だったという。
 
 遠くから時折鉄砲を撃つ音がする中、郡兵衛はひとり、今朝立ち寄った茶店に戻って中を覗いてみた。
 薄暗い屋内で、梁からぶらさがった縄(おそらく娘をくくりつけていた)に親父が首をくくっている。
 親父の目は赤く、ぱっちりと開いてこっちを見ている。

 そばには血だらけの鎌とともに、娘の母親の死骸が横たわっていた。
 あれからなにがあったのだろう。
 あれほど「取るな」と言った娘の猿轡を外してしまい、娘は早速両親を襲ったのか。
 狼狽した親父は郡兵衛を頼って、娘の手を取り、表に連れだそうとして、これもまた噛まれ、逃げられた。
 フラフラ出て行く娘を絶望の中で見送ると、ともかく女房を送ってやったあとで、自分も首をくくって死のうとして、死にきれなかった…と、そんなところだろうか。
 親父は郡兵衛に気づくと、おねだりするように腕を動かし、そのたびにぶら下がった体が振り子のように揺れた。
「まだふたりに追いつくだろう。成仏いたせよ。」
 郡兵衛は、屋内に入り、親父の額に槍の切っ先を当てた。
 郡兵衛は騒動のあった四辻に引き返し、家に返してやろうと娘の亡骸を探したが、もう見つからなかった。
 収穫した大根のように重ねて、大八車で運ばれるのろまの遺体(中には動いているのもいる)を見ながら、郡兵衛は途方に暮れるのだった。
「斬り倒したこの連中のいずれにも、親兄弟親戚、知己があったであろうに」
 安兵衛はそう言うと、屠蘇酒の入った升を、ひとくちグイとやって、郡兵衛に渡そうとする。
 これまで活躍の無かった、中間の新吉がどこかからもらってきた酒だ。
「情け容赦が足らなんだかな…」
 郡兵衛は、酒を受け取らずにそう言うと、大八車に手を合わせ、唱名念仏を唱えた。
 少し胸が悪くなっていた。
 
 この宿場の一件は完全な鎮圧や検死、検分に一昼夜かかったものだった。

 

◯<いっと最初はこちら。

++++++++++++++++++++

〜解説〜

 

空前のパロディ小説。

 

じつはこのあとに、先に使いに走らせた手下の善三郎のいきさつが用意されておりましたが、次回はそれをカットいたします。

新宿から逃げてくる人に混じりながら、善三郎が千駄ヶ谷あたりまで来たところで江戸城警備から駆けつけた鉄砲隊と出くわします。(彼らの詰め所が内藤新宿にある)

そこで、鉄砲隊と仲良くしている、米沢の三十匁もある鉄砲を軽々と担いだ、清水一学が登場する。…はずでした。
本文にある鉄砲の音は、そこと連動するのです。
早く忠臣蔵的な展開に戻したいと思い、そのシークエンスをカットするものであります。
 

というわけで、いよいよ次回

刃傷!松之大廊下
ご期待ください!
更新はだいたい、土曜日とか日曜日です。

 

どうぞごひいきに!

 

p.s.

通りかかった渋谷の映画館で、あたしがゾンビ好きになるキッカケの1978年の「ゾンビ」やってましたよ。

どういう風の吹き回しなのか。
日本オリジナル版を作った?みたいな記事を読んだけど、ソレかなぁ。


もりい

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小説「怪異談 忠臣蔵」09

小説

怪異談 忠臣蔵

〜ゾンビが出てくるやつ〜
(連載9)
 

 

この作品はフィクションです。文中に出てくる名称と、実在の個人名、団体名とは一切関係がありません。

本編には、暴力的なシーンが含まれてございます。
また、たいそう昔の設定なので、現代では不適切と思われる表現が含まれることもございます。
あらかじめご了承の上、ご覧くださいませ
※お読みの際には「死霊のえじき」のサウンドトラックをBGMにしてください(49min52s分経過したあたりからでもいいかも)
 

 

(連載9)

 

「だんなさまっ!おっお出ましだぁ!」

 外で待っていた中間の新吉が、突棒を取りすがるように抱え込んで、真っ青になってオタオタしている。

 どういうきっかけなのか、誰もいなかった通りの奥のほうから、ワラワラと五〜六人がこっちへ向かってきている。

 旅籠の戸板を填めていた安兵衛は、パンパンと両手を打って塵を払うと、

「出た出た…ひい、ふう、み…」

 と、のろまをひとりずつ指さして数えてから、手際よくたすきを十字に綾取った。

 のろまと見える連中はいずれも町人風で、御囲いから逃げ出した寝巻き姿の者はいない。

「代が変わったな…」

 そう言いながら郡兵衛が茶店から出ると、うしろで戸がピシャリと閉まり、ゴトゴトと心張り棒をかける音がする。

「門口をよく締めておけ!」

 郡兵衛は念を押してそう言うと、シコロにある面頬(口当て)をした。

 飛び血が顔にかからないようにしているところを見ると、郡兵衛はまた、斬る気満々だな?と気にかけながら、安兵衛はのろまを睨みつけた。

 安兵衛と郡兵衛はどちらともなく、その五人に向かって歩き始める。新吉が続く。

 あちこちから聞こえていた複数の念仏や題目、団扇太鼓の音がいっそう大きくなる。

 ドンドコドンドンドンドン

 ドンドコドンドンドンドン

「そこの宿屋はいかがした」

「え?ああ駄目だ駄目だ。店先で三人、奥でふたりばかり縛ってきた。あそこばかりに手間取ってもおられんので、あとを締めてまいった」

 と言う安兵衛の話を、聞いていたのかいなかったのか、郡兵衛は最初に襲いかかってきた町人風ののろまに、自分のほうからも早足で歩み寄っていき、横面に激しくビンタを見舞って相手を張り倒すと、脳天を槍の柄でしたたか殴る。

 安兵衛は捕縄を出して「これこれ」と指し示した。

 チラと見やったが、応えない郡兵衛。

 黙ってのろまの足首だけ縛る。

 のろまは、ばかになって結び目をほどくことはできないので、事はこれで足りるのだ。

 今後を考えて、縄を節約する心得もあった。

「新吉、物陰に注意しろよっ」

「へっ…へえ」

「このようすだと、宿場の者は御囲いののろまとは、ずいぶんやりあっているな…」

「類焼も厄介だ。さっき誰かが言っておったが、火の手がだいぶん近いらしい。火が回ってはこの宿場ひとたまりもないぞ」

「風が無いのが勿怪の幸い。そういえばお前は、江戸の大火の時はおらなんだな」

「そのころは未だ浪人しておったよ」

 ゆとりを装ってやりとりをしているふたりであったが、その目はかしげた首に出刃包丁をぶっ刺した、血みどろのでっぷりした飯盛女風ののろまに釘付けであった。

 脳天をやっつけなければ、急所をやられても、のろまは平気の平左で動いている。

 女が両手を伸ばして「うわ」とこっちに掴みかかってくる。

 こいつをヒラリと体を開いて、落ち着いて尻を蹴り倒す安兵衛。

 縄を節約し短く切って脚だけしっかり縛って、やはりこれも倒したままでおいている。

 そうこうしている間にも、こちらの路地、あちらの横丁といったところから、別ののろまが現れてはふらふら寄ってくる。

 

 

 

 

「ウーム。街で一度にこんな多くののろまを見たのは初めてだ。とても縄が足りんわい」

「で、あろう。これじゃあ手数(てかず)ばかりかかって仕方がない。斬って捨ておいたほうが良いのではないか」

 いつのまにか近寄ってきていた、前掛け姿の、目にかつお節が一節刺さったのろまが、安兵衛の鼻先まで躍りかかってきていた。

「うわっ」

 郡兵衛が咄嗟に、槍の石づきでかつお節男のからだを押し戻すと、男はその槍の柄を両手でグッと掴んだ。

「ええい。離せっ」

 槍を前後させるが、のろまが槍の動きに合わせて頭をグラグラさせながらそれでも離そうとしない。

「小癪なっ!離せ、と言うに!」

 グッと軒の柱にカラダを押し付けられても、黙って槍を掴んで赤い片目をこっちに向けている。

 郡兵衛は槍を掴まれたのも癪に障ったし、のろまの口からだらりとだらしなく伸びた舌の先から垂れる、血の混ざったよだれが、槍の柄に尽くのが面白くなかった。

 のろまの背後に回った安兵衛が、手際よく男の兵児帯を脱って首を柱にくくった。

「ううむ。やたらに出て来おるなっ。これはどういうわけだ」

 そう言ってるそばからひとり、またひとりと虫が湧くようにのろまが這い出してくる。

「なんだ?俺たちを喰らいに集まってきているのか?」

 ふたりにも次第に、ゆとりがなくなってきている。

「新吉っ。お前、その火の見に上がっていろ。郡兵衛ッ、とにかく出来るところまで、此奴らふんじばるのだっ」

 新吉は現場放棄するのを一瞬躊躇したが、済まなそうに「御免なすって」と会釈をすると、突棒を足もとに放り出してヒョイヒョイと火の見櫓を登っていった。

 新吉は地べたでは足手まといでも、せめて高いところからあれこれ安兵衛たちにいろいろと案内できるかと思った。

 しかし、櫓の上は遠くを見渡せて火元の所在はわかっても、眼下はおもいのほか周囲の屋根に視界を阻まれて、少しも出る幕がなかった。

 今はただ、間違ってものろまがこっちまで登ってこないよう、そればかりを祈っている。

 

 ええい、ええいと近寄ってくるのろまたちを順に蹴り倒すふたり。

 一度倒れれば、そう簡単には起きてはこないが、数が数だけにあとから出てきたのろまを蹴り倒しているうちに、前ののろまが起き上がって襲ってくるという具合である。

 倒れたのろまを、顔と言わず尻と言わずおかまいなしに踏んづけながら、そこそこの速さの動作でふたりのほうへやってくる者もいる。

 そうかと思うと近くの格子戸が不意に外れて、バラバラと複数ののろまが雪崩出てきたりして、また数が増え、これまた始末に悪い。

 一度に襲ってこられると、いくら緩慢な相手でも油断がならない。

 とてもひとりずつ結いているいとまがなくなってきた。

 倒れてるものや襲ってくるもの、うろついているものも含めて、いつの間にか安兵衛たちは、四十ほどののろまに囲まれている。

 周囲の家々から聞こえる念仏の声の数は増え、いっそう大きくなっている。

 ドーン、チャーン、ドーン、チャーン

 ドーン、チャーン、ドーン、チャーン

 なーむあーみだーぶ

 なーむあーみだーぶ

 ドンドコドンドンドンドン!

 ドンドコドンドンドンドン!

 怨敵退散!怨敵退散!

 七里結界!七里結界!

「安兵衛っ!これは、もう…」

 と、郡兵衛がそう言ってピタッと心のくらいに槍を取って構えた時、蹄の音といななき、威勢のよい声とバタバタという複数の足音が近寄ってきた。

 ふたりが音のするほうに向き直るとまもなく、建物の角から馬に乗って槍を抱えた武士と、お供をして走ってくる六尺棒や天秤棒、さすまたを小脇にかかえて鉢巻をした男衆(おとこし)数名が派手に飛び出してきた。

 火の付いた松明を持っているものも何人かいる。

「こっちにウヨウヨいやがったーっ!」

 

●<小説「怪異談 忠臣蔵」08はこちら

小説「怪異談 忠臣蔵」10はこちら>●

 

 

◯<いっと最初はこちら。

++++++++++++++++++++

〜解説〜

 

ものがたりはいよいよここからが面白くなるわけでございますが!

なんとなんと!

お時間がいっぱいいっぱいでございます。

(なんつって)

 

空前のパロディ小説。

郡兵衛は口当てをしているっていうのに挿絵でそう描いてない。てへ!

更新はだいたい、土曜日とか日曜日です。

 

え〜。

もう少しだけご辛抱いただきますと、「忠臣蔵」になってまいりますゆえ!

どうぞごひいきに!

 

 


もりい

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小説「怪異談 忠臣蔵」08

小説

怪異談 忠臣蔵

〜ゾンビが出てくるやつ〜

 

 

この作品はフィクションです。文中に出てくる名称と、実在の個人名、団体名とは一切関係がありません。

本編には、暴力的なシーンが含まれてございます。
また、たいそう昔の設定なので、現代では不適切と思われる表現が含まれることもございます。
あらかじめご了承の上、ご覧くださいませ
※お読みの際には「ランド・オブ・ザ・デッド」のサウンドトラックをBGMにしていただくと、良いかもしれません。
 

 

(連載8)


 一軒だけ、玄関口を開けっぱなしにしている、大きな旅籠の前に通りかかった。
 表にまで、桶だの帳面だの、位牌まで放り出されていることから、これがあんのんとした事情で、開けっ放しなのではないことが、うかがい知れる。
 表間口は二間ほど。
 安兵衛が注意深く中を覗きこんでみる。郡兵衛が続く。
 広い前土間から通り庭には、外れた障子や表具、膳や茶碗などが散乱して奥へ続いている。
 そして、足もとと言わず壁と言わず、そこいら中に、まき散らしたような血糊が真新しい。
 さきほど安兵衛たちの呼びかけに、宿場の者が返答しなかったのは「いまさらなにを」と呆気にとられていたのか。
 人がほうぼうから集まる各宿場には、特に憑依者の出没の危険が考えられたため、中野も近いこともあって、幕府も内藤新宿の宿場には、いっそう重たく注意を喚起していた。
 しかし、なにぶん肝心な御囲いの正体が機密であったためか、警戒心が行き届いていなかったのかもしれない。
 またひところよりも、のろまの噂自体も、下火になっていたのも事実である。
 なにより、この宿場事態の歴史が浅く、ほんの数年前に開設されたばかりなので、いろいろ連絡も悪かった。
 そしてこの宿も完全に油断していたようだ。
 玄関にかかり
「御免ッ!頼むッ!」
 と声をかける安兵衛。
 しばらく薄暗い屋内を睨んでいたが、人気配を感じない閴寂閑(ひっそりかん)。
「誰もおらぬか」
 と、身を引こうとしたその時、人かネズミか、どこからかゴソゴソ、カサカサと音がし始める。
 それまで気付かなかったが、結界格子(帳場格子)の向こうに、生きた人間では考えられない恰好で(身体が腰のあたりから、ちょうなのように、不自然に曲がっている)ぶっ倒れていた、血みどろの同心が這いずって出てきた。
 返り血なのか、どこかを怪我をしているのかは、もうわからないほどに全身が血潮でビショビショである。
 もうひとり、中央の二階へ通じる階段の下から、その者の手下なのか店の者なのか、中年の小男が、これまた血だらけの顔(どうやら鼻が無い)をのぞかせると、おぼつかない足取りで安兵衛の方へ近寄ってくる。
 ふたりとも動き出すまで、道具と同化して、すっかり気配がなかった。
 そのようすは、どちらもすでに化けてしまって手遅れである。
 歩行がままならない同心のほうは、柱にしがみついて立ち上がろうとしている。
 その手はブルブルと異様に震えていた。
 よく見るとこの男、どうやら右の膝から下が、無い。
 中身がどこかに行って鞘ばかりになってしまった腰のものが、からげた下げ緒にぶら下がって、それが柱にあたっては、カランカランと音をたてている。
 ふたりともビックリしたような、あくびの途中のような不気味な顔つきのまま、安兵衛たちを睨みつけている。
「これは、何事である」
 安兵衛は重ねて声をかけてみるが、やはり返事は無い。
 同心は血だらけの手をヌルリと滑らせてよろけると、そのままそこら辺の道具をひっつかんだまま、ガシャンガラガラと大きな音を立ててまた倒れた。
「ぎゃああ!」
 通りを挟んで、向かい側からけたたましい叫び声がした。
 郡兵衛は安兵衛に目配せをすると、絶叫の出処と思しき小屋へ踵を返す。
 宿の安兵衛のほうは、ゆっくり屋内に進み入っていき、自分に向かってくる小男のほうを袈裟懸けに打ち据えようと槍を振り上げた。
 その時、この小男が同心のものと思われるちぎれた脚を「持っている」のが目に入って「あッ」と少しくのぼせたか、不眠の疲れが出たのか、そこいらへんに置いてあった何かに槍をぶつけてひっくり返し、大きな音を立てた。
 そもそも慣れてない七尺の槍ではあるが、使うのに屋内では具合がわるいことぐらい承知して、じゅうぶん周囲と間合いをとったつもりだった。
 が、ほんの一瞬の動揺に気が引っ張られて逸(はや)まり、まさかの失敗。
「ん」
 その隙を突いて、中年小男が安兵衛の左の二の腕に「あああううっ」と食らいついてきた。
 これがなかなかのチカラでくわえこんでいる。
 が、着物の下には鎖帷子(くさりかたびら)を着込んでいるので大事なく、安兵衛は恐れる気色もなく、相手に自分を噛ませたまま槍を小脇にかかえ
「チョコザイ千万な…」
 と、うっとおしそうに小さくつぶやくと、腰の大刀から手際よく小柄を抜いて、中年小男の耳の手前あたり(の、むきだし)の骨を突いて、鍵を開けるようにガリゴリと激しくかき回した。
 「メキッ」と音がすると、顎が外れたと見えて、噛んでいるチカラがゆるんだ。
 落ち着いて小柄の血を男の着物で拭うと、もとに収め、中年小男の髻をムンズと引っ掴んで、ちからいっぱい土間へ放り投げる。
 そこへようやくズルリッズルリと、同心が足元までやってきた。
 油断とは言え、むざむざ腕を噛まれて面目玉をすっかり踏みつぶされた安兵衛は、少し癇が高ぶっていたが、呼吸をいったん整えて気を落ち着かせると、槍をそばに立てかけて、倒れている二人の手と足を手際よく縛り上げた。 
 地中から引っ張りだされたミミズのように、ふたつの体がグリングリンと、土間でのたうち回って暴れる。
 暴れるたびに、どこからか血が吹き出しては、血が土間を汚していった。
 一段落と思う間もなく、奥の座敷につながる引き戸に寄りかかって、真っ赤な目をした新造が、いつからそこにいたのか、安兵衛のほうを見ながら、だらしなく突っ立っている。
 上目遣いだが、毛ほどの色気は無く、ただただ不気味。
 耳のあたりを食いちぎられて、せっかくの晴れ着が血で染まっている。
 不意にこちらへ来ようとしたが、足をもつれさせ、そのままドダーンと正面からまともに転んで、顔面を火鉢にしたたかにぶつけ、鼻からダラダラと滝のように血を出しながらゆっくりと顔を上げて、またこっちを見ている。
「ここはもう、駄目だな…」
 役人が入っていながら、また、若い住民までが逃げ遅れてこの有り様では、よっぽどの急襲にあったことが想像され、きっとこの宿の奥には、さらなる惨劇が展開されてるのかも、と思い巡らせると、安兵衛はゲンナリした。
 宿場の被害は思っていたより、でかい。




 
 民家に入った郡兵衛のほうは、首から木札を下げたのろまの襟髪をつかんで、ズルズル引きずりながら表に出てきた。
 のろまは、口元を血だらけにしながら、なにやら間抜けにモグモグやっている。
 郡兵衛はどぶ板を蹴散らすと、七寸ほどの溝にのろまを頭から叩き込んで、肩のあたりを踏んでグイグイとどぶの中に押し込み、身動きを取れなくしてから、再び屋内に入っていく。
 この男には、すっかりのろまになっている者に対して、まるで遠慮というものがなかった。
 家の中は商売道具やら食器やらがひっくりかえって、シッチャカメッチャカになっている。
 表の木戸を閉めきっていたので、はじめわからなかったが、建前や散乱している道具を見ると、茶店のようである。
「俺は赤穂浅野家のものだ。噛まれたものはその娘だけかっ」
 薄暗い家の隅で、家族らしい3人が固まってぶるぶる震えている。
 とっくに変化した十ばかりの娘が、周囲に襲いかかろうとしているが、母親がその頭をしっかりと力任せに抱きしめて、噛ませまいとしている。
「おおよしよし。わかったわかった」
 と、泣きはらした顔で、声をかけていた。
 郡兵衛は
「気の毒だが、こうしておいたほうがよい」
 そう言うと、抱えられてる上から娘に轡をはめ、母親からむしりとるように引き離し、そばの柱のほうへと引きずっていくと、持っていた縄でグルグルと縛り上げた。
 母親は、顔をくしゃくしゃにしたほえづらで「ああ」と嗚咽しながら、すがるように娘のほうに手を伸ばし、親父のほうは悲しみとも驚きともつかない顔で、あれよあれよという間に縛り上げられるわが子の様子を黙って見守っている。
 柱に括りつけられて身動きがとれなくなった娘は、猿轡を外したがっているのか、首を激しく振っている。
 犬の耳にノミでも入って、首を振っているようすに似ていた。
「不憫だが、医者が来るまでこれをほどいてはならん」
 医者、と言ったのは、いささかでも家族に希望をもたせる、せめてもの方便であった。
 情け容赦無い郡兵衛にしては、精いっぱいの配慮。
 それから奥を覗き、開いていた裏木戸を締めて戻ってくると
「あらましを申せ」
 と、顎でしゃくって外のほうを指し示した。
「へ?」
「宿場になにがあったのだ」
「あ…ゆうべ「のろまが出た」てんで、どっからか声があがって。でも外の様子をうかがっても、どうということも無さそうで」
「それで用心しなかったのか」
「そんなことちょくちょくあるもんで、慣れっこだったんでがす。誰かがすぐやっつけちまうもんで」
「それで」
「するとどんどん騒ぎが大きくなってって、なんだかいつもと違うなとは思ってやした」
「いつだってぼんやりしてるんだよっ。この人はっ!」
 女房が金切り声をあげた。
「なにしろ真ン前のお宿も慌ててなかったもんで…。半鐘が聞こえてきたんで、とにかく店はなんとなく閉めまして」
「あたしゃさんざん戸締まりのことを言ったんですよっ!」
「起きやがれ。裏はおめえが締めたとそう言ったじゃねえか」
「言わないよ!」
「…すまねえ…」
「ああ。それでどうしたのだ」
「あっしがハバカリから戻ると、さっきのが店にいて…襲いかかってきたんです…」
 母親が縛られた娘に擦り寄って、頭を撫でる。
 娘の目付きは、もはや親を見る眼差しではない。
 郡兵衛は、食べごろをとうに過ぎた、死んだ鯉の目玉を思い起こしていた。
 それでも母親は泣き声で
「どうか娘のために、まじないをしては下さいませんか。あたしはどうなっても…」
 ここで郡兵衛は初めて、母親が手に手ぬぐいを巻いているのがわかった。
 ドブに封じ込めたのろまに食いつかれて叫んだのは、母親のほうだったようだ。
 二度にわたって戸締まりをうっかりした親父のドジで、一家は途方も無い不幸に見舞われた。
 母親もそう長くはないだろう。

 


 

 

「だんなさまっ!おっお出ましだぁ!」

 外で待っていた中間の新吉が、突棒を取りすがるように抱え込み、真っ青になってオタオタしている。

 

 

●<小説「怪異談 忠臣蔵」07はこちら

小説「怪異談 忠臣蔵」09はこちら>●

 



++++++++++++++++++++

〜解説〜

 

空前のパロディ小説。

23日は著者のお誕生日ということで、「餅まき」気分でボリュウミーにいたしましてございます。

安兵衛と郡兵衛のバディは、映画「ゾンビ」('78)の、ロジャーと、ピーターでございます。

お読みの際にはサウンドトラックをBGMにしていただくと、良いかもしれません。
お聴きの曲は、ダリオ・アルジェントじゃないほう版でございます。
そして、未掲載(ボツにした)挿絵がこちら。
更新はだいたい、土曜日とか日曜日です。

 

どうぞごひいきに!

 

 


もりい

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